新しい和声
理論と聴感覚の統合

3,800円 [税別]

  • B5判・並製(ビニールカバー装) | 400頁
  • 発売日 : 2015年4月20日
  • ISBN 978-4-86559-120-0 C1073
  • ジャンル : 音楽理論
  • 装丁:桂川 潤

和声教育の新時代を拓く国際水準の教本が誕生!
東京藝術大学音楽学部(全専攻科)および同大学附属音楽高等学校にて教科書として採用。

初歩の学習から作曲の専門的な課程までを1冊に!
西欧の伝統的な数字付き低音に立ち戻り、美しい音響を聴き取るための聴覚的訓練と歴史的な理論の統合をめざした、和声教本の決定版。

◎本書の特徴
・従来の和声教本で習得しなければならなかった日本独自の複雑な記号体系を排し、世界標準として広く使用されている伝統的な数字付き低音を採用。
・繰り返し演奏・聴取に耐えるすぐれた課題を多数収載。美しい音響を聴き取るための聴覚的訓練と歴史的な和声理論の統合をめざした。
・初歩の学習から作曲の専門的なレベルまでに必要なすべての課程を1冊に収載。
・巻末に課題の実施範例集を併載。

●訂正事項はこちらにまとめました。修正済みのPDFをダウンロードできますのでご活用ください。
 『新しい和声』|お詫びと訂正

ここが知りたい!『新しい和声』7つのポイント
監修:小鍛冶邦隆(作曲家、東京藝術大学音楽学部作曲科教授)

Q1 『新しい和声』はいままでの和声教本とどう違うのですか?
 現在、日本でよく使われている和声教本には、島岡譲先生が執筆責任者をつとめた『和声─理論と実習』(全3巻+別巻)や『総合和声』(以上、音楽之友社)などがあります(以下「島岡和声」と総称)。もっとも大きな違いは、「島岡和声」に特徴的な「和声記号」をもちいず、西洋で伝統的に使われている「和音数字」をもちいた教程であるという点です。

Q2 和声記号と和音数字はどう違うのですか?
 「記号」はあくまでも原則的な和声進行を説明するもの、「数字」はさまざまな和音進行をどのように記譜するかという、たいへん重要な原理です。記号は和声進行の「結果」を表し、数字は和音がどのように進行しうるかの「可能性」を表す、といえばわかりやすいかもしれません。現在進行形の音楽の姿を生き生きと描きだすには、言うまでもなく「数字」がすぐれています。

Q3 海外留学を考えています。『新しい和声』で勉強した内容は海外でも通用しますか?
 はい、ご安心ください。『新しい和声』で採用した和音数字は、海外でも標準的に使用されています。これまでは日本独特の和声記号が新奇な目で見られ、留学先で和音数字を一から学びなおす必要がありましたが、その心配はありません。

Q4 古楽を勉強していますが、バロック音楽で用いられている「通奏低音」との関係を教えてください。
 バロック音楽の通奏低音を演奏するには数字付き低音の理解が欠かせませんね。『新しい和声』で用いられている数字はフランス式ですが、ドイツ式の「数字付き通奏低音」の理解にも問題はありません。

Q5 独学で和声を勉強しています。『新しい和声』を使って独習することは可能ですか?
 推奨される和声進行を和声記号を使って学ぶことができ、ある意味「頭でおぼえる」ことのできる「島岡和声」にくらべて、『新しい和声』は決まった「答え」を教えてくれるわけではなく、その点では独習に適した教本とはいえないかもしれません。ただ、すぐれた作曲家でありピアニストでもある著者・林達也氏による質の高い実施範例をピアノで弾いているうちに、「美しい響きとは何か」が自然に身に付き、副題にある「理論と聴感覚の統合」をまさに実体験していただけるはずです。

Q6 東京藝術大学は半世紀ぶりに和声教本を刷新したそうですが、どのような意図があったのですか?
 東京藝大が従来採用していた「島岡和声」は、戦後の日本式メソードの流れをくむ、集団教育としての効率を第一に考えた教本でしたが、日本からも世界的音楽家が次々に輩出する時代となり、個人の音楽的資質を重要視する和声教育が必要とされるようになりました。『新しい和声』の採用は、そうした要請に応えたものであり、時代の必然なのです。

Q7 和声を学ぶとはそもそもどういうことですか?
 よい和声進行とは決まったものだと思いますか? ソルフェージュの基礎を身につけ、さらに楽器の演奏実技の延長上に「和声」を学ぶのが、ヨーロッパでの伝統的な音楽学習法です。「良い和声進行」とは理論ではなく、こうした総合的な音楽教育から、自然に「音楽性」として感得されるようになるものなのです。もちろん、良い学習法というものは、良い指導者がいてこそのもの。『新しい和声』は、学生のみならず、これからの指導者にとっての、「新しい指導法」にもかかわる重要な教科書といえるでしょう。

プロフィール

  • はやし・たつや
    作曲家、ピアニスト。
    東京藝術大学音楽学部作曲科在学中に日仏現代音楽コンクールで第1位。その他、朝日作曲賞、神戸フルート作品国際コンクールなど多くのコンクールに入賞、入選。故アンリエット・ピュイグ=ロジェ女史の薫陶を受け、フランス政府給費留学生として、パリ国立高等音楽院において、エクリチュール(和声、対位法、フーガ)、作曲、ピアノ伴奏、歌曲伴奏、クラヴサン、通奏低音、管弦楽法のクラスに学ぶ。同音楽院を1等賞で卒業、パリ エコール・ノルマル音楽院ピアノ科最高課程を首席で卒業。マルメゾン市立音楽院でプリ・ヴィルトゥオーゾ賞。
    フランス各地でリサイタルや室内楽活動をおこない、帰国後もリサイタル、器楽、声楽の伴奏および現代音楽の演奏などをおこなう。
    CDにヴァイオリニスト戸田弥生との共演による『子供の夢』(オクタヴィア)、著書に『バッハ様式によるコラール技法』(共著、音楽之友社)、『あなたがピアノを続けるべき11の理由』(共著、ヤマハミュージックメディア)などがある。
    東京藝術大学音楽学部ソルフェージュ科准教授を経て、現在同大学音楽学部作曲科准教授。
    日本ソルフェージュ研究協議会前理事、翼の会(NHK邦楽技能者育成会49期卒業生有志による)音楽監督、浜松国際ピアノアカデミー(音楽監督:中村紘子)コンクール ピアノ伴奏者。

CONTENTS

 本書を学ぶにあたって

新しい和声 本編

 序──近代の和声理論について

Ⅰ 三和音──自然協和音・自然不協和音
 第1章 倍音
 第2章 自然協和音と自然不協和音
 第3章 和声学習の予備的知識
  第1節 音階構成音と移調、移旋、異旋
  第2節 和音──三和音、四和音、五和音について
  第3節 声部の音域、進行、2声部間の音進行
  第4節 音の進行にかんする規則
 第4章 数字付き低音
  第1節 三和音──長三和音、短三和音
  第2節 減三和音
 第5章 和音の機能
  第1節 和音の機能
  第2節 終止形
 第6章 三和音(完全和音)の連結
  第1節 Ⅰ、Ⅴ、Ⅳ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅵの諸和音
 第7章 Ⅶ度和音について
 第8章 短調に生じる変化和音
 第9章 反復進行について
 第10章 低音(バス)課題、ソプラノ課題の実施手順
  第1節 低音(バス)課題の実施
  第2節 ソプラノ旋律課題の実施
 第11章 三和音和声進行にかんする諸規則のまとめ

Ⅱ 転調、三和音の配置転換、Ⅳ度の変化和音
 第1章 転調
  第1節 転調の形態
  第2節 転調を取り入れた反復進行の練習
  第3節 ドッペルドミナント和音
  第4節 近親転調を含む課題
  第5節 異名同音転調
  第6節 遠隔調への転調
 第2章 和音配置の転換
  第1節 同和音において配置の転換および転回形が連続する場合の連結上の禁則について
  第2節 Ⅳ度の変化和音

Ⅲ 四和音、五和音 自然不協和音、不協和音
 第1章 属7の和音とその転回形
  第1節 属7の和音とその転回形
  第2節 基本的な規則について
  第3節 属7の第1転回形
  第4節 属7の第2転回形
  第5節 属7の第3転回形
 第2章 フォーレ終止
 第3章 半音階的和声進行による属7の和音の「際限のない和声的鎖」
 第4章 属7以外の7の和音(四和音)
 第5章 属9和音と9の和音(五和音)
 第6章 長短属9和音の転回形
 第7章 属9(長属9・短属9)和音の根音省略形──Ⅶ7の和音
 第8章 主音上の属7、属9、およびⅦ7の和音
 第9章 増6の諸和音
  第1節 原則
  第2節 イタリアの6、フランスの6、ドイツの6──3つの形態による増6和音
  第3節 その他の変化和音
 第10章 同和音内での構成音の装飾、配置変化
  第1節 原則
  第2節 弱拍に一時的に現れる不完全和音

Ⅳ 和音外音を含む和声
 第1章 和音外音
  第1節 和音外音
  第2節 その他の和音外音
 第2章 和音外音を含む和声の諸規則
  第1節 倚音、刺繡音、経過音、掛留音
  第2節 和音外音を含むソプラノ課題の実施手順

Ⅴ 複数の和音外音によって生じる変化和音、
 模倣をともなう反復進行、保続音
 第1章 複数の和音外音によって生じる変化和音
 第2章 模倣をともなう反復進行
 第3章 保続音

Ⅵ さまざまな形態による和声課題
 第1章 転回可能対位法を含むバス課題
 第2章 フーガ風の導入を扱うバス課題
 第3章 アルテルネ
 第4章 バッハ様式のコラール
 第5章 旋律のピアノ伴奏付け
 第6章 弦楽四重奏および4段譜による課題
 和声学習の参考作品一覧

和声課題 実施範例集
 Ⅰ 三和音──自然協和音
 Ⅱ 転調、三和音の配置転換、Ⅳ度の変化和音
 Ⅲ 四和音、五和音──自然不協和音、不協和音
 Ⅳ 和音外音を含む和声
 Ⅴ 複数の和音外音によって生じる変化和音、
  模倣をともなう反復進行、保続音
 Ⅵ さまざまな形態による和声課題

 あとがき
 解 説(小鍛冶邦隆)