命をかけた使命をもってその任務を果たしていた作曲家たち──『礼拝と音楽』に『バロック音楽と国際政治』の書評掲載

「教会音楽と礼拝を考える唯一の専門誌」である『礼拝と音楽』(季刊)の2024年春号(No.201)に、西原稔著『バロック音楽と国際政治』の書評が掲載されました。評者はチェンバロ奏者で相愛大学特任教授の三島郁さん。

「職業音楽家の外交的活動から音楽史と政治史の交差点を読み解く」と題して、

[…]音楽家として要人のお供をし場を盛り立てる、といった比喩としての「音楽外交」ではない。しかも彼らは国家間の外交を直接担い、文字通り命をかけた使命をもってその任務を果たしていたのである。[略]彼らがいなければ歴史が塗り替わる場合もあったのかもしれない。音楽史が一般的には作曲様式史であるがゆえ、このようなことが取り立てて深く触れられることはなかった。

[フローベルガーの作曲した]ある哀悼曲の手稿譜には自身が追い剥ぎに遭遇した事件も書き込まれており、ヨーロッパを縦横に駆け巡る中で相当危険な体験もしていた。そしてそれが国家間の公的な外交のみならず、諜報のような隠密の活動さえも含んでいた事実には驚くばかりである。

このように同書の出版意義を明らかにし、読者としての驚きを率直に表現してくださっています。