すべてのチェンバロ演奏家・研究者・愛好家のために──
日本のチェンバロ研究の最前線を伝える唯一のジャーナル。
第3号では「大クープラン」ともよばれるフランス・バロックの大作曲家フランソワ・クープランを特集。2018年5月の「チェンバロの日2018」にておこなわれた関根敏子氏の講演「クープラン時代のパリの地図から見る音楽事情」の採録、および同イヴェントでの講演をもとにした小穴晶子氏の論文「標題付き描写音楽の思想的背景を探る──美学思想史の観点から」を掲載しました。
研究レポートとしては、第2号にひきつづき、18世紀末に刊行された最初のフォルテピアノ教則本であるJ.P.ミルヒマイアー著『正しいピアノ・フォルテ演奏法』の日本語訳の後半部を掲載。
研究論文としては、文豪ゲーテの名作に、作中に登場する「クラヴィーア」に着目して新たな光を当てた宮谷尚実氏の論文と、フランスで刊行されたピアノ教本をもとに、当時のフランスで理想とされた演奏者の身体のあり方を明らかにした上田泰史氏の論文を掲載しています。
さらに、書評、楽譜紹介、アトリエ訪問、海外レポート、博物館レポート、会員の録音物紹介、チェンバロやフォルテピアノにかんする研究や情報など、充実の内容となっています。
日本チェンバロ協会 公式ウェブサイト:
https://japanharpsichordsociety.jimdo.com/
プロフィール
CONTENTS
刊行によせて(会長 久保田慶一)
第3号の刊行によせて(副会長・年報委員長 桒形亜樹子)
特集 フランソワ・クープラン─彼の時代と音楽
講演 クープラン時代のパリの地図から見る音楽事情(関根敏子)
標題付き描写音楽の思想的背景を探る──美学思想史の観点から(小穴晶子)
研究レポート
J.P.ミルヒマイアー『正しいピアノフォルテ奏法』(1797年)──第3–6章(訳:小沢優子、久保田慶一)
研究論文
ゲーテ『若きヴェルターの悩み』における「クラヴィーア」(宮谷尚実)
フランスにおけるピアノの演奏表現と身体の理想──18世紀末から19世紀前半のピアノ教本を中心に(上田泰史)
書評
フランソワ・クープラン著/枽形亜樹子訳『クラヴサン奏法[対訳版]』(全音楽譜出版社、2018)(梶山希代)
グイド・ダレッツォ著/中世ルネサンス音楽史研究会訳『ミクロログス(音楽小論)』(春秋社、2018)(大愛崇晴)
村山則子著『ラモー 芸術家にして哲学者』(作品社、2018)(上薗未佳)
楽譜紹介
ゴットリープ・ムッファト『6つの組曲』(ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社)(伊藤一人)
ジローラモ・フレスコバルディの手稿譜鍵盤作品集──「フレスコバルディ以前のフレスコバルディ」と「フレスコバルディ以後のフレスコバルディ」(大岩みどり)
アトリエを訪ねて③ 木村雅雄
博物館を訪ねて 第2回 国立音楽大学楽器学資料館(武田有里)
海外レポート
DUMISTE(デュミスト)という肩書きを持った音楽家(柳澤藍)
古楽×モダン──ベルリンから見た現在と未来(荒木紅)
アメリカ滞在記(平林朝子)
会員録音物紹介
松岡友子ほか『ジャコモ・ファッコ/マスター・オブ・キングス』
植山けい『バッハ/6つのパルティータ』
桒形亜樹子『バッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻』
加久間朋子ほか『音楽三昧/ゴルトベルク変奏曲』
加久間朋子ほか『ヴァイオリンとハープシコードの情景』
中村恵美ほか『ウィリアム・バード&ジャパン』
鴨川華子ほか『イグナツィオ・ジーバー/6曲のリコーダーと通奏低音のためのソナタ』
平野智美ほか/三澤寿喜指揮キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団『ヘンデル/メサイア 1741年初稿版』
辰巳美納子『ジロラモ・フレスコバルディ/鍵盤作品集』
日本チェンバロ協会活動記録(2018年度)
日本チェンバロ協会会則
日本チェンバロ協会「年報」規定
日本チェンバロ協会「年報」投稿規定
日本チェンバロ協会 2018年度年報編集委員
日本チェンバロ協会 2018年度役員・運営委員
編集後記