【4/4】〈インディーズ・パブリッシャーのすすめ vol.2〉|赤羽の出版社「ころから」木瀬さんと対談します

【開催中止のお知らせ 3/23記】
新型コロナ・ウィルス(COVID-19)の感染拡大が続いているため、このイヴェントは中止することにしました。
事態が落ち着いたら日を改めて開催したいと思います。ご理解くださいますよう、どうぞよろしくお願いします。

2018年の6月にアルテス鈴木の企画で、神戸の出版社・苦楽堂の石井さんをゲストにお呼びし、インディーズ・パブリシャーのすすめ」というトーク・イヴェントをおこなったのですが(会場は夏葉社の事務所をお借りしました)、その第2回を赤羽駅近くの絵本専門書店「青猫書房」で4月4日(土)に開催します。

予定外に間が空いてしまいましたが、今回ご登場いただくのは、2013年1月に赤羽で出版社「ころから」を立ち上げた木瀬貴吉さんです。ちょうど7年前に、アジアの鉄道写真集『I LOVE TRAIN』でスタートした「ころから」のことは、『九月、東京の路上で』『13坪の本屋の奇跡』、はたまた『ちくわぶの世界』といった本でご存知の方も多いと思いますが、いったいどんな出版社かというと、同社のサイトには

 「コロから車輪へ」といったパラダイムシフトを促すような本を出します。
 著者の有名無名にとらわれず、丁寧な本をつくっていきます。
 大量配本システムから脱却して、読者に素早く本が届くようにします。

と記されています。
パラダイムシフトという言葉は意識していませんが、あとのふたつはぼくらも同じ。
後者の流通については、木瀬さんはトランスビューの取引代行を利用して取次を通さず書店に直接届けているのに対して、ぼくらは問屋や取次経由がメインですので、ルートは違いますが、大量配本システムに乗りたくない、という点では変わりありません。配本はせず、あくまで書店の発注を受けて出荷することにしている出版社が集まって、月に一度新刊情報(注文書)を書店に郵送している「受注出荷制共同DM」の仲間でもあります。

大きく違うのは、スタッフの人数と刊行点数、つまり会社としての規模と、なによりも刊行している書籍のテーマですね。僕らはご存知のとおり音楽がメイン。ひたすら音楽と音楽家たちとその周辺を巡ってあれこれ調べたり考えたりしたことが書かれた本を刊行し続けています。

いっぽう「ころから」のラインナップを見ると、扱われているテーマは出版・書店、サッカー、相撲、韓国など多岐に渡りますが(写真集や翻訳書も)、社会のありように対して問題を提起したり疑問を投げかけたり考えさせられたりする本がひときわ強い光を放っています。
6冊目に刊行され同社の代表作となった『九月、東京の路上で』(加藤直樹著・7刷)は、関東大震災後に起こった朝鮮人虐殺という歴史的な事実を丁寧に掘り起こしたものですし、『みな、やっとの思いで坂をのぼる』(永野三智著)は、水俣病の当事者たちの声を聞き続け書き続けてきた記録。そして「ヘイト」にノーを突きつける本も創業3冊目に早くも登場しています。

いまの社会で日々起きていることには、ぼくも非常に強い怒りと疑問と不安を抱いていますが、それをアルテスの出版活動に直接結びつけてはいません。音楽書をメインにしているのは、たまたま音楽専門出版社に採用されて、その世界で人間関係を作ってきたたから、と言ってしまうこともできなくはないのですが、社会や政治についての見方、考え方が自分たちの作る本にまったく影響してないとは思えませんし、音楽を語ることも社会を考えることになるのではないか、と思わないでもないのです。

だとしても、だいぶ迂遠というか、そんな悠長なことでいいのか、という思いもあり、そのあたりの違いを踏まえながら、このイヴェントでは、経済的には楽とはいえない小出版社経営者/編集者としてのこれまでの歩みと、日々の業務とその中での悩みや迷い、あるいは希望や夢を根掘り葉掘り伺って、いま出版業に携わる人、これから始めたいと考えている人の役に立つ、実践に即した内容にしたいと考えています。

今回拝借した青猫書房に先日ご挨拶に伺ってきました。広々とした清潔な空間がとても気持ちよくて、おじさん二人にはもったいないようですが、コーヒーなどを味わいながらお楽しみいただければと思います。

参加をご希望の方は、info【アットマーク】artespublishing.com 宛てに、お名前・人数・メールアドレス・緊急連絡用のお電話番号を記して、メールでお申し込みください。整理番号を発行せず、ご来場いただいた順にお好きな席に座っていただきます。会場のキャパシティは最大で40人ぐらいでしょうか。

ちなみに4月5日がアルテスの創業記念日なので、この日は創業13年めの最後の日にあたります。
では、会場でお目にかかれるのを楽しみにお待ちしています!

《インディーズ・パブリシャーのすすめ》Vol.2
出演:木瀬貴吉(ころから)、鈴木茂(アルテスパブリッシング)
日時:2020年4月4日(土)16時開演(15時30分開場)
   18時終演予定
入場料:1500円(ワンドリンク付き)
会場:青猫書房(JR赤羽駅北改札・東口/地下鉄南北線赤羽岩淵駅から徒歩10分)