6/16 対談〈インディーズ・パブリッシャーのすすめ〉|苦楽堂代表の石井伸介さんとお喋りします

【5月30日追記】ありがたいことに、先ほどご予約が定員の20名に達しました。このあとは立ち見で我慢していただくか、あるいはキャンセル待ちとなりますので、ご了承ください。 (鈴木)

〈インディーズ・パブリッシャーのすすめ〉というテーマで、苦楽堂という出版社を神戸で営んでいる石井伸介さんとお喋りすることにしました。

6月16日(土)夜19時から(18時30分開場)、会場は吉祥寺の夏葉社オフィスです。入場料は1000円(当日精算。ドリンクなどのご用意はありませんので、ご持参ください)、定員20名(用意できる椅子がちょうど20脚でした)。

ご予約は infoアットマークartespublishing.com までメールでどうぞ。人数、お名前と連絡の取りやすい電話番号またはメールアドレスをお知らせください。

夏葉社は、東京都武蔵野市吉祥寺北町 1-5-10-106、吉祥寺駅北口から歩いて10数分、市立第四小学校の手前、吉祥寺通りに面したマンションの1階です。急ぎのお問合わせは アルテスパブリッシング 03-6805-2886、当日は夏葉社 0422-20-0480 までどうぞ。

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アルテスを立ち上げるときに「出版のインディーズ・レーベルをやりたい」と書いた(その心は、こちらに詳しいので、読んでみて下さい)。10年以上経って読み返しても、自分の文章とはいえまったく違和感がないのは、ぶれてないと言うべきか進歩がないというべきか。

「ひとり出版社」「小さな出版社」への関心が高まり、メジャーな雑誌で特集されたり、書籍の刊行も相次ぐようになって久しい。僕らもそのなかで何度も採り上げていただいた。宣伝資金も乏しい零細版元としてはありがたいとしか言いようがない。

ありがたいことだし、会社のサイズも出版活動の本質に大きく関わってくる要素だとおもう。自分で出版社を始めてみて実感したのが、本はそもそも「一人が書き、一人が作り、一人に手渡す」ものだということだったりもするし、今の出版業界が行き詰まっている大きな原因は、業界が大きくなりすぎたことだとも思う。

僕らは小さいからこそ続けられている。そうなんだけど、出版活動においてもっと大事なポイントは「インディペンデントであること」だとずっと思っている。「独立/自立/自律している」こと。要は、自前の資金で運営していて、特定のスポンサーや出資者(社)をもたないことなんだけど、まっとうな言論メディアが活動を続けていくためには、それが欠かすことのできない条件なんじゃないか。

そんなふうに考えているので、広告という営みにはさっぱり関心がもてないし、雑誌『アルテス』を出していたときも広告営業はいっさいやらなかった。広告スポンサーに頼ることのない書籍の出版だけで11年間食べてこれているのはとても幸せなことだと思う。

ミシマ社に半年遅れて僕らがスタートしたあとも、少人数で出版社を立ち上げる人が次々に現れて、小規模出版社が集まっている版元ドットコムの会員社は270を越えたし(アルテスは100社目ぐらいだった)、新刊の受注活動を共同でやっている「注文出荷制共同DM」に集まる版元もスタート時の7社が70社にまで増えた。

そんな仲間たちとは折りに触れて顔を合わせてはいるものの、企画・編集・制作・受注活動・販促宣伝・出荷業務・経理・財務といった日々の仕事を、どんな体制でどんなことを考えながらどうやっているのか、という実務のことや、いまの出版界全体をどう見ているのか,あるいは本というメディア=商品をどうとらえているのか、といった理念的なことや、あれやこれやをじっくり話す機会というのは案外なかったりする。

そういう、新聞や雑誌の取材でも訊かれることのないような、出版業に携わっている人にしか通じないかもしれないような(通じるように心がけますが)、そんな話を、僕がひときわ共感と敬意をもっている出版社の経営者の一人である石井さんと、今回はお話ししてみたいと思います。

訊きたいことがありすぎるので、どんな内容になるのか僕にもわかりませんが、面白いものになったら/おもしろがっていただけたら、また別の版元の人をゲストにお呼びして続けていくつもりです。

  アルテスパブリッシング代表  鈴木 茂

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2017年3月、場所は東京・荻窪、辻山良雄さんのお店「Title」。
「今回はいつまで東京に居ます?」
小社刊『本屋、はじめました』刊行記念トークイベント。著者の辻山さんと誠光社・堀部篤史さんの対談。うしろでドタバタしていた私に、出版業界紙「文化通信」の編集長が訊きました。
「ははーん星野さん取材ですか。しかし、神戸でなければお話ししません。訊きたきゃ神戸に来てください(笑)」

本物のブンヤさんがおっかないのは、そう言ったらほんとうに来てしまうことなのですが、今のところ実際に神戸まで取材に来られたのは星野渉さんだけです。あれですよね、東京の編集者の皆さんは東京で手一杯でお忙しいんですよね、きっと。

ということで今回は例外です。会場が四半世紀暮らして友だちだらけの吉祥寺、島田さんの仕事場まだ見てないしということもありますが、鈴木さんにお声がけいただいたことは大きな理由のひとつです。鈴木さんが「共感」と言ってくれたのは嬉しく、「敬意」と言われたことには恐怖すら感じるわけですが、鈴木さんがなぜそう言われるのか、その理由を私は知りません。鈴木さんに問いそして問われることで、私は何かびっくりして神戸に帰ることになるような気がします。お集まりいただく皆さんにも一緒に驚いていただければ嬉しく。

  苦楽堂代表 石井伸介