耳をふさいで、歌を聴く

定価:本体2200円[税別]

  • 四六判・並製 | 452頁
  • 発売日 : 2011年7月31日
  • ISBN 978-4-903951-45-4 C0070
  • 企画・編集:広瀬陽一 ブック・デザイン:寺井恵司

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加藤典洋による初めての音楽論、渾身の書き下ろし。
身ひとつで日本のロックに挑む!

音楽とはなにか?
才能とはなにか?
ポップとはなにか?

奥田民生、スガシカオ、じゃがたら、フィッシュマンズ、忌野清志郎、桑田佳祐、

小沢健二、コーネリアス、椎名林檎、曽我部恵一、小島麻由美、スピッツ、町田町蔵 etc……

文芸評論、戦後日本論、アメリカ論などで長年活躍する著者が、初めて音楽批評に挑んだ。数百枚に及ぶCDを聴き続けて選んだ6組の日本のアーティスト── 奥田民生、スガシカオ、じゃがたら、フィッシュマンズ、忌野清志郎、桑田佳祐──を論じた書き下ろし750枚。音楽とは? 才能とは? ポップとは? その本質に深く厳しく迫る!

音楽を聴いていると、だんだん音楽の友人になってくる。でも私は、耳をふさぐようにして聴いた。また書いた。音楽の友人になるまえに、音楽に見知られる前に、まったく音楽を知らない人間として、「音楽」について、「Jポップ」について、「日本のロック」について書きたかったのである。音速に追いつかれない、招かれざる客として。耳をそばだて、すませば聞こえるのが歌なら、ふさげば、──何が聞こえるのか。
本書「あとがき」より……

プロフィール

  • 加藤典洋 (かとう・のりひろ)
    1948年山形県生まれ。文芸評論家、国会図書館、明治学院大学をへて、早稲田大学国際学術院教授。東京大学文学部仏文科卒。
    1985年、『アメリカの影』(河出書房新社)でデビュー。以降、現代文学批評、戦後日本論など幅広く評論活動を展開している。
    著書に『言語表現法講義』(岩波書店、1996年。第10回新潮学芸賞)、『敗戦後論』(講談社、1997年。第9回伊藤整文学賞)、『日本の無思想』(平凡社新書、1999年)、『ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ』(クレイン、2002年)『テクストから遠く離れて』『小説の未来』(講談社、朝日新聞社、ともに二〇〇四年。第七回桑原武夫学芸賞)、『僕が批評家になったわけ』(二〇〇五年、岩波書店)、『文学地図-大江と村上と二十年』(朝日選書、2008年)、『さようなら、ゴジラたち──戦後から遠く離れて』(岩波書店、2010年)などがある。

CONTENTS

第1部 奥田民生vsスガシカオ
はじめに
奥田民生
1 来歴
  広島と共産党
  ユニコーン
  ソロ
2 ディレンマ
  生きると暮らす
  「がんばりたくなさ」と詩法
3 たたかい
  『服部』/『ヒゲとボイン』
  『29』
  『股旅』と『E』
  Tour——『Lion』
  峠と隧道——『Fantastic OT9』から『OTRL』へ

スガシカオ
1 p(ぺー)とH(ハー)
  来歴・シングル・海外公演
  酸・アルカリ・中性
2 初期性の輝き──『Clover』
  『Clover』/『Family』
  「前人未踏のハイジャンプ」
  「黄金の月」──いる場所の低さ
3 日本と海外
  ロンドン公演
  日本的/日常的
  バー・地べた・空

「Jポップの越境者」解凍ファイル−1
 1 椎名林檎|遠くには稲妻。
 2 パラダイス・ガラージ|パラダイスとガラージ。
 3 フィッシュマンズ|ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ
 4 コーネリアス|GOD ONLY KNOWS
 5 小沢健二|遠くまで行く1000灯機のように
 6 スピッツ|ウサギのバイクの一走り
 7 早川義夫|破れた空のした。歌は息絶え絶え。低く飛ぶ。

第2部 じゃがたらvsフィッシュマンズ
はじめに
じゃがたら
1 来歴
  キリスト教・清流・奨学金
  南部ロック、ウェット・ウィリー、吉田拓郎
  亀裂
  愚行
2 高圧炉とエントロピー
  『南蛮渡来』──駄洒落/空耳
  『裸の王様』、『ニセ予言者ども』──リアル/ヴァーチャル
  『それから』・『ごくつぶし』──ライヴ/デス
3 東京の空──『君と踊りあかそう日の出を見るまで』

フィッシュマンズ
1 来歴
  歴史
  佐藤伸治
  十字路──『Neo Yankee’s Holiday』
  「なにもないこと」──『ORANGE』
2 「なんてったの」──前期
  低調なデビュー──『Chappie, Don’t Cry』
  悪あがき──『KING MASTER GEORGE』
  十字路──『Neo Yankee’s Holiday』
  「なにもないこと」──『ORANGE』
3 夕日の中で──後期
  転回──I dub fish
  密室──ワイキキビーチ/ハワイスタジオ
  一〇〇ミリちょっとの浮遊
  喪失/到来──『LONG SEASON』
  叡智
  何もしないでいること
  散開──『宇宙 日本 世田谷』
4 夕暮れ──「SEASON」
  ギロチンの夢──「ゆらめきIN THE AIR」
  未来

『Jポップの越境者』解凍ファイル2
 8 ブルーハーツ|「ないこと」と生きる歓び
 9 小島麻由美|空の、水たまり。
 10 こだま和文|「深く静かに」、「攻撃的」に。
 11 曽我部恵一|音楽は新陳代謝する。
 12 エレファントカシマシ|Elephant Vanishes
 13 町田町蔵|自分と刺し違えて、彼方へ

第3部 忌野清志郎vs桑田佳祐
はじめに
忌野清志郎
1 よくないリスニング
  来歴
  時期区分
  初期の輝き
  売れること、劣化すること
2 一九七二年◯二〇〇八年
  透明な檻、汚い毛のコヨーテ
  一九七二年二月
  明るさ
  Honesty, Acidity
  貧しさ
  『COVERS』
3 微笑み

桑田佳祐
1 出生の秘密
  仮定と問い
  非決定と無意識
  曲先、ただの歌詞
  殺されるには存在しなければならぬ
  曲と詞──「いとしのエリー」
2 全能と不能
  アイデンティティをもたないこと
  無意識と英語
  桑田佳祐の教え
  音楽の落人

あとがき

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初出一覧