50年以上にわたってブラジルの音楽をリードしてきた最重要ミュージシャンのひとり、
カエターノ・ヴェローゾの著書『熱帯の真実』を9月下旬に発売します。
熱帯の真実
カエターノ・ヴェローゾ著
国安真奈訳
定価:本体4200円[税別]
ISBN978-4-86559-218-4
C1073
全編書き下ろしで、1997年にブラジルで出版された“Verdade Tropical”の全訳に、
2017年の20周年記念版巻頭に収められた(とても長い)新しい序文を加えたものです。
最初の版権交渉を始めてから数えると20年近くかかった大仕事となりましたが、
ご本人が78歳を迎えた誕生日にこうしてついに発表までこぎ着けることができて感無量です。
生まれ育ったサント・アマーロでの幼少期の記憶から、
妹マリア・ベターニアとともにプロのミュージシャンとしての道を歩み始める若き日々、
ジルベルト・ジルやムタンチスらと牽引したトロピカリズモ・ムーヴメントの詳細、
軍事政権下で拘束された2ヶ月と亡命したロンドンでの2年間、などなど、
音楽のみならず50年代から70年代にかけてのブラジルの文化、社会、政治を語った同時代証言として、
ほかでは得がたい内容がぎっしりつまっています。
改行が少なくてうねうねと続く複雑で独特な文章を訳してくださったのは、
音楽ファンからの信頼も篤いポルトガル語通訳・翻訳の第一人者、国安真奈さん。
また、訳者あとがきでの各章の紹介に加えて、本書を読み進める際のガイドとして、
日本版独自の解説を贅沢に2本ご用意しました。
まずJ-WAVE「サウージ!サウダージ」のプロデューサーとしておなじみの中原仁さんに、
本書に沿ってカエターノのキャリアを振り返っていただき、
長いブラジル滞在経験をお持ちの情報誌『ブラジル特報』編集人の岸和田仁さんには、
当時のブラジルの社会背景と、映画・演劇・文学・思想など多岐にわたるカエターノの
交友のなかから重要人物をご紹介いただいています。
装丁デザインはカエターノ・ファンでもある川名潤さん。
A5判・2段組で500ページを越える大冊を、最高にかっこよく仕上げてくれました。
著者の確認待ちがまだ残っていたりで、校了まであと一歩。
発売日、目次など詳細は近日中に改めてご案内します。どうぞお楽しみに!