音楽の概念が解体される──『音楽学』に『音楽の未明からの思考』の書評掲載

日本音楽学会の機関誌『音楽学 第69巻 2号(2023)』の書評ページで、横井雅子さんが『音楽の未明からの思考 ミュージッキングを超えて』(野澤豊一、川瀬慈編著、2021)を取り上げてくださっています。

クリストファー・スモールが提唱した概念「ミュージッキング」への批判を乗り越えようとした本書の意義を押さえたうえで、本書に収めた16本の論考を丁寧に紹介しながら、こんなふうに本書を評価していただきました。

各執筆者の専門性やフィールドに沿った報告でありながら、高度に理論的ではなくてエピソードがふんだんに盛り込まれた読み物的面白さがあるのが特徴である。

民博での研究報告会を垣間見るような、一種の臨場感を感じる瞬間もある。

各報告に共通しているのは、音楽の力がかくも広範囲におよぶことが見えてくると同時に、自明と思われていた「音楽」の概念が解体されることである。

本書ではしばしば「音楽する」のは人ではない。それは霊的存在であったり(第14章)、神が贈ることで実現したり(第15章)するし、人がコントロールしていると思い込んでいる楽器製作・使用においても楽器の方に行為主体性があったりする(第12章)。

そして、本書が現代社会に生きる自分たちに投げかける問いをしっかり受け止めていただきました。横井さん、ありがとうございました。

同時期に刊行した『音と耳から考える』とはまた違った意味のある、そして端的に「面白い」レポートがつまっていますので、ぜひご一読ください。