4月に発売したアルテス初の翻訳小説『鑑識レコード倶楽部』(マグナス・ミルズ著 柴田元幸訳)は、読者の方がさまざまな読み方をSNSで披瀝してくださったり、いろいろなミュージシャンの方が面白いと言って下さったりと、ふだん刊行している音楽書とはちがう反応をいただけて、僕らもとても楽しんでいます。
そんななか、商業メディアでは初めての本格的な書評が『レコード・コレクターズ』の最新7月号に掲載されました。
評者は、シンガー優河さんのバンドで僕も存じあげていた鍵盤奏者の谷口雄さん。
登場人物についてもほとんど背景が描かれず、作中に登場するレコードについても曲名が報告されるのみ。これが想像力を掻き立て、まるでレコード盤のセンター・ホールの向こう側にあるマルチヴァースを覗いている気分に。
谷口さんは「レコードを聴いて喋り倒すイヴェントを主催してい」らっしゃるとか。「立ち入るのが憚られる倶楽部」としつつ、レコードを愛することと音楽を愛することについて、本書は思索を広げる契機になったようで、嬉しいです。谷口さん、どうもありがとうございました。