赤坂憲雄さんの『新・神楽と出会う本』書評が産経新聞に掲載!

2月4日の産経新聞に、民俗学者の赤坂憲雄さんによる『新・神楽と出会う本』の書評がドンと掲載されました!
ミュージシャンである著者ならではの視点とアプローチを的確に理解したうえで、従来の学問が捉えきれずにいる神楽という祭祀/芸能の豊穣な世界へと誘ってくれる、とても嬉しいレビューです。ありがとうございます!

全文が同紙のサイトで公開されていますので、ぜひご一読ください。

著者の立場は特異である。神楽の「音楽」性に、きわめて実践的な関心を寄せながら、伝承者自身がそれを「音楽」として意識しているわけではないことを、よく承知している。「民俗芸能」ですらないのかもしれない。こうした留保のうえで、神楽に出会い、衝撃を受けた初心を忘れることなく、この国のいたるところに点在する神楽の場に赴き、何よりその不思議さを楽しんでいる。そうして、神楽の研究者となることを、やわらかく拒絶している。

そこから浮き彫りにされてゆく神楽のイメージは魅力的である。神が降臨する場所としての神座(かみくら)で行われる神祭り、そこで奉納された歌舞や祈祷(きとう)のなかに、神楽の古風な姿が見定められる。だから、巫女(みこ)の神がかりの痕跡に目を凝らすのだ。また、神楽の多様なリズムのなかに、あえてする「ズレ」や「訛(なま)り」が見いだされる。ミュージシャンらしい繊細な耳だ。日本人のリズム感は昔から豊かだった、ともいう。