『サウンド&レコーディング・マガジン』に『オリヴィエ・メシアンの教室』の書評掲載

『サウンド&レコーディング・マガジン』2021年2月号に『オリヴィエ・メシアンの教室──作曲家は何を教え、弟子たちは何を学んだのか』(ジャン・ボワヴァン 著/平野貴俊 訳/小鍛冶邦隆 日本語版監修)の書評が掲載されました。評者は横川理彦さん。

[メシアンの]生徒たちへ大量のインタビューを行い、生徒たちの著作からメシアンについての言及を徹底して調査。出典は確実な上に、互いに矛盾する証言についてもそのまま掲載されていて価値判断をしていない。大量の資料を明晰に並べ、読者へ公平に示す本書のやり方には、とても好感が持てる。

第2部の5章で“メシアンがどのように楽曲分析をしていたか”を生徒たちが語るところは、本書のピークとなる。メシアンは膨大な量の音楽を記憶していて、それらを自在に連携させて和声やメロディの意味を語るのだ。3和音に音が1つずつ加わるたびに、古典派→リヒャルト・ワーグナー→クロード・ドビュッシー→アルバン・ベルクと変化するのだという説明は、明快すぎて呆気に取られる。共感覚を持つメシアンにとって、和声は色彩の変化であり、機能的な説明は全く縁のないものなのだった。

と、音楽家ならではの視点でレビューしてくださいました。ありがとうございました。

ちなみに、もう1冊紹介されているのは弊社好評既刊『《ニーベルングの指環》教養講座』の著者でもある山崎太郎さんが訳したA.エードラー『シューマンとその時代』(西村書店)。メシアンの744ページに続いてこちらも560ページ超の大冊。横川さんのレビューアー魂に敬服します!