青澤隆明さんが『藤倉大のボンクリ・アカデミー』を紹介してくださいました

音楽評論家の青澤隆明さんがクラシック音楽のビデオ・ストリーミング・サイト「medici.tv」での連載コラムにて、藤倉大ほか著『藤倉大のボンクリ・アカデミー──誰も知らない新しい音楽』を紹介してくださいました。

ぼんくらの午後 -『藤倉大のボンクリ・アカデミー』を読むと…|medici.tv
https://medicitv.jp/Review/Aosawa_review/1FdRN

「ぼんくら」はボンクリにかけてるにちがいない……などと思いながら、青澤さんのやわらかいタッチの文章を楽しみました。

 講義各編の後には、受講者からのQ&Aがさまざまにあって、これも楽しい。オンライン講座のかたちで開催されたアカデミーのドキュメントならではのものだ。これもまた、パンデミックの産物である。でも、藤倉大にとっては、いつもやっているふつうのやりかたに近いのだろう。とても自然で、この人らしく、終始くだけている。

 で、ふんふん、と話をきくように、講義録を興味津々で読んでいくと、面白いところはいろいろある。なんて、ずいぶんといい加減な言いかたになったけれど、それはつまり、人それぞれの興味の方角で、さまざまに感じる部分があるだろう、という意味だ。のっけから、大友良英の作曲の話で、ぐんと自由に見晴らしが広がって、楽になるし。

 ぼくが好きなのは、たとえば檜垣智也がミュジーク・コンクレートを音響エンジニアのピエール・シェフェールが始めたときのことを振り返って、「失敗からうまく面白い部分を見出していったことが重要に思います」と語るところ。「トライ・アンド・エラーで音楽を作っていくということ」にその「創造精神」の核をみている。ようするに、すべては「発見」から、はじまった。手探りで、自分の手とやりかたで、ちょっとずつ探りながら、つかんでいくということしかないのだ。

こんなふうに、愉しんでページを繰っているのが見えてくるようで、それがまた藤倉大さんという人や、この「ボンクリ・アカデミー」の本の「温度」とも共通するようです。

最後には

 そう言っているうちにも、次なる本が出るみたい。『軽やかな耳の冒険 藤倉大とボンクリ・マスターズ』。マスターたちは八木美知依、杉田元一、豊田泰久、石丸耕一、石川慶、岡田利規の各氏で、こんどは作曲と演奏だけではない領域へも広がりをみせている。

と、今日からの「ボンクリ・フェス2023」で先行発売(一般発売は7月25日)している新刊『軽やかな耳の冒険──藤倉大とボンクリ・マスターズ』のことにもふれてくださって、ありがたいかぎりです。