『レコード芸術』2023年3月号に広瀬大介訳・著『オペラ対訳×分析ハンドブック リヒャルト・シュトラウス/楽劇 サロメ』の書評が掲載されました。
評者はコントラバス奏者・音楽批評の布施砂丘彦さん。冒頭、「これはただならぬ本だと、開く前からそう感じさせるこの一冊」と期待を語ったうえで、
[…]右のページでは細やかな楽曲分析がなされている。それはときに1小節単位で書かれており、複雑に入り組んだスコアを顕微鏡で精査するかのように綿密だ。
ここに書かれた分析を読みながら楽譜を見ると、ただ記号の羅列にしか見えなかった複雑なスコアが、突如として立体的にたちのぼり、音符たちがもぞもぞと動き出すのである。
このように楽譜を片手に読み進めていくと、なるほど、これはアカデミックに正しい分析書という化けの皮を被った、著者によるひとつの「演奏」のようにも思えてくるのである。[略]これはじっさいに耳にしたいと思って音源を流してみても、著者と読者が共演してできあがった「演奏」には決して敵わない。
と、興奮を感じさせる筆致で、本書を力強く紹介してくださっています。
刊行から8カ月もたってから、しかも『レコード芸術』の大枠での書評ということで、驚くとともにたいへん光栄に感じています。