「アスペン・オンライン・コミュニティ」に『親愛なるレニー』の書評掲載

日本アスペン研究所が運営するウェブサイト「アスペン・オンライン・コミュニティ」に、吉原真里著『親愛なるレニー──レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』の書評が掲載されました。

【サロン/関根清三先生】三つの時代の恋物語|アスペン・オンライン・コミュニティ
https://aspen-community.jp/2023/03/03/10288/
※会員限定

紹介してくださったのは東京大学名誉教授で倫理学者・聖書学者の関根清三さん。『饗宴』とともにソクラテス=プラトンの恋愛論が講じられる『パイドロス』と、19世紀フランスの政治思想家バンジャマン・コンスタン唯一の小説作品『アドルフ』とともに、「現代の恋物語」として『親愛なるレニー』を読むというユニークな書評。

『パイドロス』に論じられた「恋人同士、美のイデアの探求へと促され、共に哲学の道へと進むことの重要性」とは、まさにバーンスタインと愛を育むなかで、芸術をつうじて、より大きな人間愛へと向かっていったクニの人格陶冶の道をあらわしているかのようです。

そして最後はこのように結ばれています。

今道友信先生の語源説によれば、classicとは元来、智慧や勇気や力をあたえてくれる作品一般の謂であって、現代にもclassicには事欠かないはずである。『親愛なるレニー』はそのようなclassicの良質の一例として、また古代・近代の恋物語のclassicの、画龍に点睛する佳品として、広く御一読を薦めたい一書である。

今道友信さんとは、「「古典」という素材と「対話」という手段を通じて、理念や価値観を今一度見つめ直し、今日の課題に照らして思索しながら将来を展望するための場を提供し、人々のリーダーシップ能力の醸成に寄与する」という同研究所の設立と初期の運営に深くかかわった哲学者です。

哲学や古典の叡智に照らされ、「現代の恋物語」がまた違った輝きを見せてくれるような深くユニークな書評をうれしく読みました。