陸奥新報ほか地方紙多数に『親愛なるレニー』の書評掲載

昨年(2022年)12月後半に陸奥新報(17日付)、岩手日日(17日付)、デーリー東北(18日付)、北羽新報(22日付)、十勝毎日新聞(23日付)ほか多数の地方紙に吉原真里著『親愛なるレニー──レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』の書評が掲載されました。時事通信から配信された音楽評論家・青澤隆明さんによる書評です。

 日米文化交流史や文化の力学を研究する著者がバーンスタインとその時代を読み解く。際立ってユニークなだけでなく、痛切なほどに感動的なのは2人の日本人の手紙を通じ、深い友愛と尊敬のありようを赤裸々に描き出しているからだ。

 物語として興味深いのは、友愛の行方を追うのが専らバーンスタイン宛の書簡によるところだ。返信は秘されており、著者は推理とともに関係の変容を見詰める。スキャンダルを扱うのではなく、節度と敬意でもって真意を読み取ろうとする。その余白が言外の余情ともなっている。

と、静かで熱い共感をもって読みこんでくださり、ほんとうにうれしいかぎり。とくに、最後の一節は詩情あふれる音楽評論を信条とする青澤さんならではの評文。

本書をひときわ美しいものにしているのは、[2人の日本人のひとり]橋本[邦彦]自身が和訳した手紙に流れる、清らかな抒情性だろう。

青澤さん、ありがとうございました。