図書新聞に『抵抗と適応のポリトナリテ』の書評掲載

図書新聞7月9日号に田崎直美著『抵抗と適応のポリトナリテ──ナチス占領下のフランス音楽』の書評が掲載されました。評者は音楽学者で国立音楽大学教授の友利修さん。

タイトルの「ポリトナリテ(多調性・複調性)」という概念に目をとめ、

[…]各々固有の磁場を持って組織された音の複数のグループが併置され音楽が進行していく中で、複数の時間の流れが起きる。一見相互に関係のない奇妙な併存や、不協和の衝突、微妙にとり結ばれる関係性がそこに生まれていく。

と本書への導入として、語の象徴するニュアンスを提示したうえで、各部各章の内容を解説。

明かされる事実が、政治的価値判断から正のものであろうと負のものであろうと、歴史的事実の解明は作品を豊かにし、その理解を深める。後者の解明に徹底的に禁欲的に拘った本書を読みながら、評者は、その思いを新たにした。

と結んでおられます。

本書を、副題にもある「ナチス占領下のフランス音楽」という分野の「研究の発展の直接の貢献者による最先端の成果」と位置づけ、

論文集でなく、単独著者による総合的な類書は、英仏語でも数少ない中、オリジナルな著作として日本語でそれが読めるのは、読者として幸運なことだ。

と高く評価してくださいました。