『モーストリー・クラシック』10月号に彌勒忠史著『裏声歌手のモンテヴェルディ偏愛主義──演奏・演出の現場から見た《オルフェオ》《ウリッセ》《ポッペア》《ヴェスプロ》』の書評が掲載されました。評者は音楽評論家の安田和信さん。
音楽に対する愛情と見識に溢れた記述は実践家ならではの視点にも支えられ、確かに本書の優れた点に挙げられよう。だが、とりわけ声楽作品では本来的に音楽と言葉が等しく扱われるべきであり、著者のような語り方は非常に説得力がある。
ヨーロッパの伝統的な教養、イタリア語やラテン語の見識についても、ポイントを押さえつつ、現代日本の一般的な感覚からも理解できるような身近かつ卓抜な比喩が取り入れられているのも読みやすさにつながっているだろう。
実践家が著した著作として、一つの理想が本書で実現していると評者は思う。
などなど、ひじょうに高く評価してくださってうれしいかぎりです。安田さん、ありがとうございました。