演奏家も音楽を聴く人も知っておいたほうがよいビルスマの言葉|「メルキュール・デザール」に『バッハ・古楽・チェロ』の書評掲載

いささか時間がたってしまいましたが、ウェブの音楽批評誌「メルキュール・デザール(Mercure de Arts)」にA.ビルスマ+渡邊順生+加藤拓未『バッハ・古楽・チェロ──アンナー・ビルスマは語る』の書評が掲載されました(7月13日付けの記事です)。評者は音楽学者の大河内文恵さん。

筆者は残念なことにビルスマの生演奏を聴く機会を持つことができなかったが、それができたらどんなに心躍る経験ができたことだろうと、ビルスマの言葉1つ1つを読むたびに思われてならなかった。彼の言説の心惹かれたところに付箋を貼っていったら、本が付箋だらけになってしまったほどである。

……演奏者としてのビルスマの信念に関する部分には、非常に共感した。「楽譜に書かれたとおりに弾くことが大切なのではなくて、作曲家の頭に鳴り響いていた音を、楽器による演奏をとおして再現し、聴衆に届けることが重要」という部分である。これは、楽曲をその当時演奏されていた楽器で、その当時の演奏習慣に則って演奏するという古楽の考えかたと一見矛盾するかもしれない。しかし、彼のいうように演奏すれば、おそらく古楽の考え方と結果的に一致するのだ。

本書が翻訳書ではなく日本オリジナルの企画であることにも言及してくださり、ビルスマの生き生きとした言葉に触れる歓びを率直に語ってくださっています。[G]