【新刊】英国の誇るテノール歌手ボストリッジが楽聖の遺した暗号を解読する!

イアン・ボストリッジ(© Sim Canetty-Clarke)

アルテスは2月8日、英国の誇る世界的リート歌手、イアン・ボストリッジの著書『シューベルトの「冬の旅」』を刊行します。
http://artespublishing.com/books/86559-150-7/

これまで1000回を超える『冬の旅』の演奏経験と、文学・歴史・政治・自然科学におよぶ広大な知見と洞察にもとづいて、シューベルトが死の前年の1827年に作曲したこの連作歌曲集の成立史を克明に跡づけるとともに、詩人ミュラーと作曲家シューベルトが生きた19世紀初頭のヨーロッパの文化状況や自然環境を、豊かなイマジネーションで読者の眼前に生き生きと再現した、いまだかつてない刺激的なシューベルト論です。いずれも言語学者でドイツ文化に知悉する岡本時子・岡本順治両氏による翻訳は、音楽というジャンルを超えて文化の深みを掬い取った素晴らしいもの。カラー図版を多数掲載した美しい造本仕様も魅力です(装丁は桂川潤さん)。

本書の原書Schubert’s Winter Journey — Anatomy of an Obsession(Faber & Faber, 2015)は、すぐれたノンフィクション作品にあたえられる英国の権威ある文学賞「ダフ・クーパー賞」を受賞しており、自身世界的なシューベルト演奏家であり文筆家としても著名なピアニスト、アルフレート・ブレンデルは、独Zeit紙に掲載された同書の書評のなかで「ボストリッジは音楽の解釈者のなかでももっとも才能ある文筆家である」と絶賛しています。