本日、アルテスは創業10周年を迎えました。

音楽のインディーズ・レーベルのように出版をやりたい、そんな思いでアルテスパブリッシングを立ち上げてから、今日、4月5日で丸10年を迎えました。夫婦ふた組がそれぞれの自宅を事務所にしてスタート、現在はアルバイトさんも含め常勤スタッフ8名が下北沢と稲城本社とに分かれて働いています。

代表ふたりはともに凡庸な編集者で商売ベタですし(平川克美さんの言葉を借りれば「無能な詐欺師」)、経営面のピンチも何度かありました。それにもかかわらずこの10年間、出版活動を滞りなく続けてこられたのは、大切な原稿を預けてくださった著者・訳者の皆さん、本作りに参加してくださったデザイナー・イラストレーター・写真家・DTPオペレーター・編集者・編集プロダクションの皆さん、印刷所・製本所・倉庫会社のスタッフの皆さん、ご購入くださった全国の読者の方々、小さな版元の本に目を留めて店頭に置いてくださった書店・ショップの皆さん、実績のない版元と取引を始めてくださった卸や取次各社の皆さん、大きな仕事をくださったNHK交響楽団の方々をはじめとして、ほんとうに多くの方たちのお力添えのおかげです。スタッフ一同、心から御礼を申し上げます。

刊行した書籍はいつのまにか130点を越えています(電子版『アルテス』を除く)。点数に比例して売上げも増え続けて…はくれないのが悩みの種ですが、10期のうち7期はとにもかくにも黒字となりました。まだまだ会社の体を成していないとはいえ、外部の資本や広告収入に頼ることなく、自力で10年間続けてこられたことはとてもありがたいことです。

この数年、国全体にたいして重い責任を負った人々が、言葉を弄び、言葉によるコミュニケーションを崩壊させつつあります。言葉が崩壊するということはつまり、社会を成り立たせる基盤を揺るがせることになるわけで、そのことにはとても強い危機感を抱かざるをえません。句読点のひとつひとつ、一字一句に悩みながら日々言葉と相対している者としては、言葉を蔑ろにするな! と声を大にして言いたいところです。

これからも「続ける」ことを目標に、インディーズ・パブリッシャーとして、言葉を大切にして、丁寧に本を作り、可能なかぎりさまざまな方法で、みなさんにお届けしていきます。1年でも長く出版活動を続けられるよう、引き続きご支援とご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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さて、先日お伝えしたFMラジオ番組の第1回が今日という記念すべき日に放送されますが、ラジオのほかにも、10周年を期して、いくつか新しい取り組みを始めます。ここではまず概略だけ先にお伝えしておきます。

1 電子書籍10タイトルを販売開始!
絶版となっている本を中心に、全10タイトルを電子書籍化し、国内の主要電子書店での販売を始めました。

2 ウェブサイトをリニューアル! ショッピングしていただきやすくなりました。

3 《アルテスフレンズ》をスタート!
無料の「フレンズ」と会費制の「サポーター」のふたつを設けて、アルテスの今後を支えてくださる会員を募集します。

4 古書店「バリューブックス」と提携。先日の日本経済新聞で報道されたとおり、新しい出版のエコシステムに加わります。

5 10周年記念フェアを開催してくださるお店を募集中です。

6 10周年記念のトートバッグを作りました。

それぞれの詳細は明日以降、順番にメルマガやSNSでお伝えしていきますので、どうぞご注目ください!

[代表取締役・鈴木茂]  ※ロゴ・デザイン=折田烈(餅屋デザイン)