かねてからお知らせしていたとおり、一昨日(6/2)、京都大学人文科学研究所主催の「人文研アカデミー」にて、岡田暁生さんと片山杜秀さんの対談「21世紀の音楽批評を考える」が開催されました。
まずはこちらのチラシをごらんください!
http://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/academy/2009/music-criticism.html
始まるまえから「えらいこっちゃ!」と思わせるこのド迫力のチラシ(どなたがデザインしたのか、ナイスです)が功を奏したのか、配布物も椅子も早々に足りなくなる盛況ぶり。熱気むんむんの会場に乗り込み、席についたふたりは、のっけからフルスロットルで飛ばす飛ばす。あっという間の2時間でした。
激論中の片山杜秀氏(左)と岡田暁生氏(右)
内容は近い将来、アルテスから刊行される単行本に収録予定ですが、少しだけご紹介しましょう。前半のお題は「批評と暴力」。音楽批評とは作曲家や演奏家のいとなみを高みから見おろし、一方的に価値判断をし、ときに断罪したりする「暴力」なのか、あるいはしょせんマイナーな分野なのに際限なくタコツボ化する音楽界に公論を形成せしめることの「無力」を表すだけのいとなみなのか、といったシリアスなトーク。
休憩をはさんでの後半のお題は「批評と文脈」。なんとなんと、1970年代の人気テレビドラマ『非情のライセンス』のテーマ曲(渡辺岳夫作曲)をオープニング映像を観ながら聴いたあと、この曲について、まったくなんの制限ももうけずふたりがそれぞれ自由に書いた批評文をネタにトークが展開。「この曲は素晴らしいと確信するけれども、作品についての文脈(周辺情報)を知らない」と自覚する岡田さんと、「ありとあらゆる文脈をこれでもかこれでもかと繰り出し、曲そのものについての判断は読者にゆだねる」片山さんの批評スタイルの違いから、「批評にとって文脈とは」というテーマがあぶりだされました。
天知茂(会田刑事)が渋い!
そして最後に岡田さんの指名により、フロアにいた3人から質問が。三輪眞弘さん(作曲家、情報科学芸術大学院大学教授)、王寺賢太さん(フランス文学史、京都大学人文研准教授)、小関隆(イギリス・アイルランド近現代史、京都大学人文研准教授)という「尋常じゃなく鋭い」(岡田さん評)3人の質問には、さすがのふたりも時間もなく準備もない状態では答えられず、「宿題にさせていただきます」(笑)。
このふたりのトーク、こんどは東京で開催予定。そのときには「宿題」にも答えがでるはずです。まだまだ目が離せないこの論戦のゆくえにご注目ください!
激論!岡田暁生VS片山杜秀──京都の陣
[木村]