「書物漂流」というコーナーで、「心をいやす音楽の世界」と題して、松島駿二郎さんが『バレンボイム音楽論』と『音盤考現学』を紹介してくださいました。
オーケストラの奏者は2つのことを同時にしなくてはならない。たとえばパレスチナ人のビオラ奏者は、自分で奏でる音を聞きながら、隣のイスラエル人のバイオリン奏者の音も同時に聞いて、美しいハーモニーをつくり出さなくてはならない。
バレンボイムはこれまで、いかなる大国の首脳も成し得なかったパレスチナとイスラエルの両者の、お互いの声に耳を傾ける、というハーモニーをつくったわけである。
音楽のハーモニーの力を改めて感じさせられた。 (『バレンボイム音楽論』について)
改めて通読してみると、日本の西洋音楽受容の偏りぶりが、通奏低音のように伝わってきて、心が震える気がした。(『音盤考現学』について)
ありがとうございました。
[木村]