三輪眞弘さんが今年度の京都賞についての意見を表明

三輪眞弘音楽藝術

三輪眞弘音楽芸術』の著者である作曲家の三輪眞弘さんが、自身もかかわった今年度の京都賞の「思想・芸術部門」の選考にかんして、ウェブサイトで意見を表明されています。
第29回京都賞、思想・芸術部門(音楽)の結果について
http://www.iamas.ac.jp/~mmiwa/29thKyotoPrize.html
三輪さんは「京都賞における音楽というものの位置(価値)付けに大きな変化があった」として、次のように語ります。

……ジャズの歴史とはまさにメディアテクノロジー、すなわちレコードと放送の歴史と表裏一体のものであったはずであり、ぼくもまた、それらを通してセシル・テイラーを知っている。彼がそのジャンルにおいて、いや、100年前までは存在しなかったジャズという新しいジャンルの誕生後に、その革命的な成熟を促し、同時に音楽的にも高度で洗練された技芸を極めた音楽家だったことを信じることもできる。つまり、今回もまた世界的に称賛されるにふさわしい音楽家が京都賞に選ばれたことを疑ってはいない。しかし、その彼を選ぶためにぼくら審査員は必要だったのだろうか?

圧倒的なデータ量によって「フラット化された」この世界において、専門家のもつ高度に特殊化された知見が今後意味をもつことができるのか──。三輪さんの問いかけのもつ射程は深く、遠いものだと感じます。

[木村]