昨秋刊行された『狂気の西洋音楽史──シュレーバー症例から聞こえてくるもの』(岩波書店)で、西洋音楽史に精神病という新たな観点から光を当てた椎名亮輔さん(同志社女子大学教授)による、フランスの作曲家デオダ・ド・セヴラックの評伝を現在編集中です。
セヴラックは19世紀から20世紀への時代の転換期に、フランス楽壇の中心であるパリから距離をおき、南仏を拠点に活躍した作曲家。「地域主義」ともいわれる独自の美学を標榜し、民俗的な要素をとりいれたその作品は、ドビュッシーが「彼は、良い香りのする音楽を作る。そして、人はそこで胸いっぱいに深呼吸するんだ」と絶賛したことでも知られます。本邦初の伝記にご期待ください。
なお、本書刊行に先駆けて、8月7日にはコジマ録音より著者がピアノ伴奏をつとめ、奈良ゆみさん(ソプラノ)が歌うCDがリリースされます。こちらもあわせてどうぞ。
『デオダ・ド・セヴラック 歌曲と古いシャンソン』ALCD-7158
奈良ゆみ(ソプラノ)、椎名亮輔(ピアノ)
製造・発売元:コジマ録音
2011/08/07発売
http://www.kojimarokuon.com/
[木村]