音楽家たちは旅をする。国家の密命を携えて──
『クラシックでわかる世界史』の著者が放つ
近世ヨーロッパ音楽歴史絵巻!
外交官の使命をおびて旅したフローベルガー。
メディチ家からフランス王家に嫁ぎ、芸術外交を展開した王妃たち。
ドイツの小国ハノーファーを国際舞台に引き上げたステッファニ。
英国の新王朝樹立をめざして暗躍したヘンデル。
海上覇権をあらそう英西間で争奪戦となったカストラート歌手ファリネッリ。
3つの継承戦争に巻き込まれたバッハ──
旅する音楽家たちが動かした世界史の真実とは!
大人気ベストセラー『クラシックでわかる世界史』の
著者が放つ近世ヨーロッパ音楽歴史絵巻!
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プロフィール
西原 稔(にしはら・みのる)
1952年山形生まれ。東京藝術大学大学院博士課程満期退学。現在、桐朋学園大学音楽学部名誉教授。18、19世紀を主な対象とする音楽社会史、音楽思想史を専攻。
著書に『新版 クラシックでわかる世界史──時代を生きた作曲家、歴史を変えた名曲』『ピアノ大陸ヨーロッパ──19世紀・市民音楽とクラシックの誕生』(以上アルテスパブリッシング)、『神と向かい合った作曲家たち──ミサ曲とレクイエムの近代史 1745–1945』『《ドイツ・レクイエム》への道──ブラームスと神の声・人の声』『シューマン 全ピアノ作品の研究 上・下』(以上音楽之友社)、『ピアノの誕生』『クラシック 名曲を生んだ恋物語』(以上講談社)、『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』(平凡社)、『世界史でたどる名作オペラ』(東京堂出版)、共著・共編書に『ベートーヴェン事典』(東京書籍)、訳書に『魔笛とウィーン』(平凡社)、監訳・共訳書に『ルル』『金色のソナタ』『西洋の音楽と社会(7)ロマン主義と革命の時代』(以上音楽之友社)、『オックスフォード オペラ大事典』(平凡社)などがある。
CONTENTS
はじめに
序章 本書におけるバロック時代
バロック時代の年代区分──バロック音楽の特質と背景
パワー・ポリティックスと国際政治
本書の構成の概略
第1章 ハプスブルク家に仕えた外交官──作曲家フローベルガー
三十年戦争と中部ヨーロッパ
三十年戦争後のオーストリアと国際情勢
外交官音楽家フローベルガーの誕生
フローベルガーの西方への外交旅行
ヴィーン帰国と皇帝の死
第2章 フランス王家に嫁いだメディチ家王妃の芸術外交
──カトリーヌ・ド・メディシスとマリー・ド・メディシス
ヴァイオリン時代の開幕
カトリーヌとヴァイオリン
カトリーヌとアンリ二世の結婚の背景
使命を果たしたカトリーヌ
メディチ家からフランス王家に嫁いだもうひとりの女性
──マリー・ド・メディシスとアンリ四世の結婚の背景
マリーの結婚式とオペラの誕生
マリーの失脚
メディチ家による芸術外交
第3章 小国ハノーファーを国際舞台に引き上げた外交官
──作曲家ステッファニ
一八世紀初期のハノーファー
音楽家と外交官の顔をもっていたステッファニ
スペイン継承戦争の勃発とハノーファー
作曲家ステッファニの晩年
第4章 ハノーヴァー朝イングランドへの大躍進を支えた功労者
──国際的作曲家ヘンデル
ヘンデルの登場と一八世紀初期の北ドイツ
一八世紀前期のイングランドを取り巻く情勢
ヘンデルの二度目の渡英とアン女王のための作曲
ハノーファー選帝侯ゲオルク・ルートヴィヒのイングランド国王即位とヘンデル
ゲオルクとヘンデルの和解
第5章 イングランド対スペインの抗争と社会を動かしたカストラート
──ファリネッリ狂騒とジャーナリズム
歌手として名声を博したファリネッリ
ロンドンのジャーナリズムとファリネッリ
ホイッグ党批判の材料となったファリネッリ
ジェンキンズの耳事件で高まる緊張関係
ジェンキンズの耳戦争とファリネッリ批評
ファリネッリという歴史現象と彼をめぐる英西両国の争い
第6章 ポーランド継承戦争とオーストリア継承戦争を生きた和平の使者
──大作曲家バッハと外交官カイザーリンク
ポーランドの混乱
ゲオルク・エルトマンとバッハ
外交官ヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク
バッハの作品に描かれたポーランド継承戦争
《ゴルトベルク変奏曲》をめぐるカイザーリンクとゴルトベルク
《ミサ曲ロ短調》の背景
オーストリア継承戦争とバッハ
《音楽の捧げもの》の作曲とカイザーリンクの役割
バッハの生きた三つの継承戦争と音楽
第7章 ヘンデルとラモーが描くオーストリア継承戦争とふたりの外交官
──音楽愛好家、ヴァッセナール伯爵とサンドウィッチ伯爵
ラモーの作品とオーストリア継承戦争の構図
ブレダ会議とヴァッセナール伯爵の活躍
アーヘン講和会議とサンドウィッチ伯爵の活躍
アーヘン和約を祝う音楽
第8章 ポーランド分割のために奔走したモーツァルトの後援者
──音楽愛好家スヴィーテン男爵
スヴィーテン男爵親子
外交官スヴィーテン男爵の使命
スヴィーテン男爵のフリードリヒ大王との折衝
優れた教養人であったスヴィーテン男爵
作曲家スヴィーテン男爵
あとがき
主要参考文献
事項索引
人名索引