シューベルトの手当て

定価:本体2400円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・上製(仮フランス装) | 240頁
  • 発売日 : 2023年11月25日
  • ISBN 978-4-86559-285-6 C1073
  • ジャンル : 音楽療法/エッセイ
  • ブックデザイン:木下 悠/カバー装画:agoera

傷ついた魂を癒やす、チェロの調べ──
介護にたずさわる人、認知症の家族をもつ人、
死を前に不安をかかえるすべての人に贈る感動の物語!

重度の自閉症患者、認知症の高齢者、終末医療を受ける患者のかたわらで、
20年以上にわたってチェロを弾きつづけてきたフランス人チェリスト。
音楽がもたらす癒しと出会いの体験をつづった感動の物語。

2021年のフランス「音楽家の本」賞を受賞し、
英語、ドイツ語をはじめ4カ国語に翻訳された話題の書がついに邦訳!

 Le pansement Schubert(Éditions Denöel, 2020)

 

驚きというより、奇跡(クレール・オペール)

10分間のシューベルト=5ミリグラムのモルヒネ(緩和ケア担当医師の証言)

 

2012年4月、パリの認知症患者のための老人ホーム。
ある入居者が、包帯の交換の痛みに悲鳴をあげている。
看護師たちが格闘するかたわらに響くチェロのやわらかな音色。
クレールがシューベルトを弾きはじめると、患者は急に静かになり、看護師たちに身をあずける。
老人はその後も、クレールのチェロ演奏があるときに限って、つらい処置を受け入れるようになった。
音楽が痛みをやわらげ、症状を緩和したのである──。

この本は自閉症や認知症、終末医療の患者たちの前で音楽を奏でてきた希有な人物の物語だ。

  • 患者の痛みは10〜50%軽減し、不安解消のプラス効果は90%近く、看護師への好影響は100%
  • 重度の自閉症患者たちとの驚くべきコミュニケーション
  • フランス「音楽家の本」賞(Prix Littéraire des Musiciens)を受賞(2021)
  • フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、中国語に続き、日本語版が出版

ためし読みはこちらから▼
https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784865592856

❖著者来日情報

2023年秋、奇跡の調べを奏でるチェロを手に、著者が来日!
「オペールと彼女の業績を知ってほしい!」と、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセなどの強力なバックアップも得て実現。
日本各地でイベントに出演!(以下、詳細が決定しだい、更新していきます)

 © Astrid di Crollalanza

プロフィール

  • クレール・オペール(Claire Oppert)

    1966年パリ生まれ、医師とアーティストの家庭に育つ。チェロ奏者、アートセラピスト、作家。
    1993年、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院を卒業、国際コンクールで数多くの賞を受賞する。並行して、ソルボンヌ大学で哲学修士号、トゥール大学医学部でアート・セラピーの学位を取得。チェロ奏者として、若手の指導にも熱心に取りくみ、現在、ザハール・ブロン音楽院(スイス、チューリヒ)とムジカ・ムンディ(ベルギー、ワーテルロー)でチェロを教えている。
    1997年から、アメリカ人臨床心理士ハワード・ブーテンと共同で自閉症の患者を対象に音楽療法をはじめ、ついで老人ホームの認知症患者のケアに同伴、2011年、パリのサント゠ペリーヌ病院緩和ケア病棟のスタッフとして採用され、現在はリヴ・ド・セーヌ総合病院の緩和ケア病棟などほかの病院にも活動の場をひろげている。音楽療法士としての豊富な経験をもとに、アートと治療の関係について研究、医学関係の学会などで定期的に講演をおこない、世界各地(スイス、スペイン、イスラエル、カナダ、アメリカ、日本など)を訪れている。
    夫のルステム・サイトクーロフはロシア系フランス人のピアニストで、演奏旅行で何度か来日もしている。3人の子どもがあり、夫と娘のヴァイオリニスト、クララとの3人で「サイトクーロフ・トリオ」を結成し、各地で演奏活動をおこなっている。

  • 鳥取絹子(とっとり・きぬこ)

    翻訳家、ジャーナリスト。著書に『「星の王子さま」隠された物語』(KKベストセラーズ)など。訳書に『移民と現代フランス』(集英社新書)、『素顔のココ・シャネル』『私はガス室の「特殊任務」をしていた』『ウクライナ現代史』(以上、河出書房新社)、『巨大化する現代アートビジネス』(紀伊國屋書店)、『崩壊学』(草思社)、『地図で見るアフリカハンドブック』ほか〈地図で見る〉シリーズ(原書房)など多数。

CONTENTS

プロローグ
幸せな物語
ポール
壁をとおして
ポール──爆発
ハワード
アメリア

ディラン
チェロ
ダヴィッド
出会い
居住スペース
ロシア
エスパスの詩人たち
チャイコフスキー音楽院
バレエ・ミュージカル
転機
いつもと変わらぬ日
彼女と彼
医学部
三階の女流詩人
ある人生──本
文を書くこと
レジオンドヌール勲章の展示
音楽の伝達
季節を描く画家
メトロで
ある物語のヒロイン
新しい居場所
ロイ氏の採血
臨床研究
モレッティ夫人の介助
研究
疼痛治療と生の音楽
結果
クンバ氏
ミュラー夫人
リヴィエール氏
ルブラン氏
マルタン氏
アザロ夫人
フリードマン氏
べレック夫人
ロワゾー氏
ラモー夫人
アデライド夫人
カズヌーヴ夫人
ブロッホ夫人
ボーシャン夫人
カヒル氏
リッチ夫人
フォンテーヌ夫人
エレオノラ夫人
ンデイエ氏

友の死
再会
エピローグ
大地の下

訳者あとがき
参考文献