音楽と病のポリフォニー
大作曲家の健康生成論

定価:本体2800円[税別]

  • 四六判変型・上製 | 352頁
  • 発売日 : 2018年9月10日
  • ISBN 978-4-86559-190-3 C1073
  • ジャンル : クラシック/作曲家/評論
  • ブックデザイン:中島浩

作曲は狂気か、それとも生存戦略か──
病に直面した作曲家たちの創造の秘密にせまる!

病に立ち向かえ。音楽を武器に!

ハイドン(認知症?)、
シューマン(進行麻痺?)、
ブルクミュラー(てんかん?)、
シベリウス(うつ病?)……

音楽を創造することによって、内面の危機を克服し、
芸術へと昇華させた作曲家たち──
精神病理学者が解き明かす創造と疾病の驚くべき対位法!

登場する作曲家
ヨーゼフ・ハイドン
ローベルト・シューマン
ノルベルト・ブルクミュラー
ジャン・シベリウス
リヒャルト・シュトラウス
ドミトリー・ショスタコーヴィチ
チャールズ・アイヴズ
ジャチント・シェルシ

プロフィール

  • 小林聡幸(こばやし・としゆき)
    自治医科大学教授。博士(医学)。専門は臨床精神医学、精神病理学、病跡学。
    長野県生まれ。自治医科大学卒業。著書に『シンフォニア・パトグラフィカ──現代音楽の病跡学』(書肆心水)、『行為と幻覚──レジリアンスを拓く統合失調症』、『症例に学ぶ精神科診断・治療・対応』(共編著)、『レジリアンス・文化・創造』(共著、以上金原出版)など。

CONTENTS

第1章 わが力尽き果てぬ、われは老いわれは弱りぬ──筆を折るヨーゼフ・ハイドン

ハイドンの名刺
エステルハージ家の楽長の生涯
パパ・ハイドンの芸術
晩年
筆を折るハイドン
おわりに

第2章 詩と内因──しっかりと黙っているローベルト・シューマン

ヴァイオリン協奏曲ニ短調
二人のシューマン
詩と散文の抗争
クラーラ・ヴィーク
病と作曲
天使の歌
エンデニヒの病気
右手の故障
しっかりと黙っているシューマン
発狂を恐れるシューマン
内因を聴くシューマン
「知っている」シューマン
チェロとピアノのための《五つのロマンス》

第3章 ロマン主義とヒステリー──ノルベルト・ブルクミュラーの二つの回路

時代精神と「てんかん」
夭折の生涯
風変わりな人物
残された作品
二つの回路
ヒステリーと音楽

第4章 ヤルヴェンパーの沈黙──ジャン・シベリウスと第八交響曲

シベリウス晩年の謎
独立を待つフィンランド
ジャン・シベリウスの誕生
人となり
アイノラにて
シベリウスの音楽
ヤルヴェンパーの沈黙
「創造性の抑うつ状態」

第5章 自画像を描くことと人間学的均衡──才能を羽織るリヒャルト・シュトラウス

天才と職人
ホルン吹きの息子
指揮者シュトラウス
交響詩作家シュトラウス
家庭人シュトラウス
オペラ作曲家シュトラウス
第三帝国のシュトラウス
焦土のシュトラウス
矛盾なき相反
人間学的均衡

第6章 スターリニズムを生き延びる──ドミトリー・ショスタコーヴィチの生存戦略と健康生成

「証言」と「自伝」のあいだ
ソヴィエト最初の作曲家
躍進
プラウダ批判
これが彼の答えだ
サッカー狂い
二枚舌と多義性
ジダーノフ批判
雪解け
晩年
首尾一貫性のレジリアンス

第7章 日常生活の創造性──チャールズ・アイヴズとジャチント・シェルシの仕事

日常生活の創造性
チャールズ・アイヴズ
ジャチント・シェルシ
臨床のほうへ
創造性をとらえる

参考文献

あとがき

人名索引

初出一覧