〈ポスト・ジャズからの視点〉 Ⅰ

リマリックのブラッド・メルドー

164リマリックのブラッド・メルドー

定価:本体1,900円 [税別]

  • A5判・並製 | 256頁
  • 発売日 : 2017年6月26日
  • ISBN : 978-4-86559-164-4  C1073
  • ジャンル : ジャズ評論/ディスクガイド
  • 装丁:折田烈(餅屋デザイン)

21世紀のシーンに多大な影響を与えたジャズ・ピアニスト、
ブラッド・メルドーの軌跡をたどりながら
現代ジャズの状況を読み解く!
ディスクガイドも充実の268枚掲載!

ジャズ評論に新たな地平を切り開く
気鋭の書き下ろしシリーズ
〈ポスト・ジャズからの視点〉第1弾!

ジャズが「死んだ」あともなお、
新時代のシーンを牽引する実力派ピアニスト、
ブラッド・メルドーの軌跡をたどりながら、
ロバート・グラスパー、フライング・ロータスなど
現代ジャズの状況を読み解く!

ヒップホップ、クラシック、ワールドミュージックから
日本のインディーズまで、
ディスクガイドも充実の268枚掲載!

■シリーズ続刊予定:ジョン・コルトレーン、チャーリー・パーカー、デューク・エリントン、ルイ・アームストロング

【ブラッド・メルドー Brad Mehldau】
1970年、米フロリダ生まれのジャズ・ピアニスト。1995年にワーナーからメジャー・デビュー。クールな音色と独特のフレーズ、新しいサウンドの導入などで沈滞していたジャズ界に新風を吹き込み、アーロン・パークス、ジェラルド・クレイトン、ティグラン・ハマシアンなど後続の若い世代に多大な影響を与えた。ウェイン・ショーター、パット・メセニー、ジョシュア・レッドマンら名だたるジャズ・ミュージシャンとの共演も数多く、ルネ・フレミングやアンネ・ゾフィー・フォン・オッターなどクラシックの声楽家ともコラボ作を発表。2014年には気鋭のドラマー、マーク・ジュリアーナと組んだユニット、メリアーナ(Mehliana)で衝撃を与えた。たびたび来日もしており、2003年の公演は『Live in Tokyo』(ノンサッチへの移籍第1作)として発表されている。

プロフィール

  • 牧野直也(まきの なおや)
    1952年、東京生まれ。高校卒業後、印刷所勤務を経て5年後に進学。和光大学人文学部文学科卒業、同大学専攻科修了。専門は鎌倉期の仏教思想、中国訳経史研究。1981年から平凡社営業部の山形・秋田・青森・北海道担当として書店を廻る。これが旅の基礎を作る。1985年、書籍制作会社を設立し、事典・年表などを企画・執筆・編集。1992年、『週刊マイルームガイド』の連載エッセー「いつもここに来てしまう」を制作、村松友視、三枝成彰、角野栄子、田村隆一、阿久悠など約30名の諸氏に執筆を依頼。その傍ら、自己のレーベルを立ち上げる。1998年3月から2000年7月まで、音楽の源郷を訪ねて世界一周の旅を敢行。ヨーロッパ、中南米、カリブ海、アフリカ、インドなどを歴訪し、帰国後、音楽研究の執筆に専念する。
    著書に『レゲエ入門』(音楽之友社、2005年)があるほか、寄稿に「オリジナル・ウェイラーズの軌跡」(ROVE、2007年)、解説にDVD「BOB MARLEY / SPIRITUAL JOURNEY」(ナウオンメディア、2007年)、分担執筆に北中正和監修『世界は音楽でできている』(音楽出版社、2012年)などがある。

CONTENTS

はじめに──「ポスト・ジャズ」の時代

序論 新しいジャズ理解を目指して/音楽の根底にたどりつくために
  ジャズ論の構想に占めるメルドー論の位置
  言語と音楽、そして映像を統一的にとらえる
  映画における映像の意味について考えてみる
  「幻想」を食べて生きる人間

第1章 リマリックのブラッド・メルドー
  最初の印象
  リマリック・ライヴと既存のアルバムの関係
  音楽の源郷を訪ねる世界放浪の旅
  ディスクの中での再会
  もう一つの再会、ルイ・マルの『42丁目のワーニャ』

第2章 どんなピアニストなのか
  詳しいことは分からない家族像
  ピアノと戯れることができた幼少期
  世評への疑問
  耐えているメルドー/内側からの拡張
  グールドに通じる屈折した批評精神
  抑制的なタッチと溜めの少ないフレーズ
  静かな音色革命と「音」の記号化
  美のデフォルメを嫌う姿勢
  ジャズ理解のクリティカルな稜線
  変奏を超えた展開、いやそれこそが変奏

第3章 レコーディングの軌跡
  ニューヨークでのさまざまな出会い
  最初の3枚のレコーディング
  ジョシュア・レッドマンとの活動
  ピアノ・トリオの活動/The Art Of The Trioから新ユニットへ
  大先輩たちとのコラボレイション
  同世代あるいは若い世代の共演者たち

第4章 クラシック音楽との交流
  ルネ・フレミング、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターとの共演
  クラシックの発声法に感じる異和
  リルケとシェーンベルク、あるいはその続編
  発声法を転換することの難しさ
  落ち着いた心でジャンルの垣根を超えること

第5章 ソロ活動はなぜピアノの「音」に変化を与えるのか
  「音楽」と「パフォーマンス」の違い
  「3メートル理論」と適切な演奏会場の規模
  人間は眼で音を聴く
  生演奏は反復行為だ
  ソロ演奏家、そしてコンサート・ピアニストの宿命
  興行の形態が演奏のスタイルを決める

第6章 新しい試み::『Largo』と『Mehliana/Taming The Dragon』
  傑作『Largo』とジョン・ブライオン
  ダニエル・ラノワという個性との出会い
  ラノワのプロデュース作品への参加
  『Mehliana / Taming The Dragon』の衝撃
  4つの鍵盤をリアルタイムで弾きこなすメルドー
  マーク・ジュリアーナの新感覚高速ドラミング
  初めて挑むサンプリングやダブの技法

第7章 ジャズが置かれている状況を俯瞰する
  閉じられたジャズ/ひたひたと打ち寄せる抑鬱の波動
  エルダー・ジャンギロフ/ボーダーレスのピアノ弾き
  ティグラン・ハマシアン/民族音楽の再生
  ジェイソン・モラン/過去への遡及
  ミシェル・ピルク/セシル・テイラーの影響
  ヴィジェイ・アイヤー/インド音楽と前衛ジャズ
  ロバート・グラスパー/ヒップホップとの関わり
  ヒップホップ覚え書き①終焉の時期を考える
  ヒップホップ覚え書き②良い聴き手でなかった理由
  フライング・ロータス①遅延された「肉体」と脱構築
  フライング・ロータス②中心の空洞をどうやって埋めるか

第8章 ジャズ論における概念や方法論についての諸注
  「脱構築」あるいは「音自体」について
  「史料批判」と「音楽的人間像」、そして普遍的な視線
  「裕福な家に生まれたマイルス」の意味
  音楽の表現衝動のスタート地点を設定する

終章 不思議の国アイルランド
  不思議なことが起こるフェアリー・ランド
  コークのエルヴィン・ジョーンズ①意識下へ向かうコルトレーン
  コークのエルヴィン・ジョーンズ②終わりの音楽
  コートニー・パインと氷雨の夜
  恋しきアイルランド

あとがき

主要人名索引