ラドゥ・ルプーは語らない。
沈黙のピアニストをたどる20の素描(デッサン)

定価:本体2400円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・上製 | 232頁(内カラー12頁)
  • 発売日 : 2021年11月19日
  • ISBN 978-4-86559-245-0 C1073
  • ジャンル : クラシック/ピアニスト
  • ブックデザイン:寺井恵司/カバー写真:Jerome De Perlinghi

「1000人に1人のリリシスト」と讃えられながら、
インタビューも録音も拒んで引退したピアニスト。
親友たち20人の証言・寄稿により、その素顔が明らかになる。
本人公認の唯一の書籍が誕生!

音楽について聞かれても、何か語れるとしたら、自分の音楽を通してだけだ

ルーマニアの生んだ至高のピアニスト、ラドゥ・ルプー。
「1000人に1人のリリシスト」と讃えられながら、いっさいのインタビューを拒み、1993年を最後に録音もやめてしまい、2018〜19年のシーズンを最後にコンサートからも引退。
伝説のピアニストとなったルプーの素顔を、彼を敬愛する20人の音楽家、関係者などの寄稿やインタビューで描きだす。

こんな「讃歌(Lobgesang)」はもうたくさんだと言わんばかりに、あなたは顔をしかめるにちがいありません。
──サー・アンドラーシュ・シフ

彼が演奏すると、まるでその瞬間に作曲されたような音楽に聞こえます。
音楽におけるあらゆるつながりに命を吹きこむことができる
きわめてユニークな才能を持っています。
──ダニエル・バレンボイム

天にものぼる心地でした。
自分が演奏している背後で、あのサウンドが鳴っている!
この体験を永遠に心のなかで愛でたいと思いました。
──スティーヴン・イッサーリス

サー・アンドラーシュ・シフ、ダニエル・バレンボイム、ミッシャ・マイスキー、フランツ・ウェルザー゠メスト、スティーヴン・イッサーリス、アンヌ・ケフェレック、ユリアンナ・アヴデーエワ、チョ・ソンジン、フィリップ・カサール、ジャン゠エフラム・バヴゼ、ネルソン&ルスダン・ゲルナー、元マネージャー、ディレクター、調律師、元夫人などが登場。
音楽評論家・青澤隆明による珠玉のルプー論も収録。
口絵にはルプー夫妻提供の貴重な写真を掲載!

本書を企画し、編者をつとめたのは、長年ルプーの担当マネージャーとして来日公演をアシストし、海外での公演にも通いつめた音楽マネージャー。
その熱意と、ルプーからの信頼によって実現した、日本オリジナル企画にして、本人公認の唯一の書籍です!

ためし読みもできます! こちらからどうぞ▼
https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784865592450

本書の内容と連動したプレイリストはこちら▼
Spotify
https://open.spotify.com/playlist/7jeC93zM9AmQdtrYzrL8Zq?si=21124c26664b47a0
Apple Music
https://music.apple.com/jp/playlist/%E3%83%A9%E3%83%89%E3%82%A5-%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%BC%E3%81%AF%E8%AA%9E%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84/pl.u-2aoqlLYCVJRWd9

プロフィール

  • 板垣千佳子(いたがき・ちかこ)
    お茶の水女子大学卒業。
    1988年より株式会社KAJIMOTO(旧称:梶本音楽事務所)に勤務し、国内外アーティストのマネージャーやラ・フォル・ジュルネ音楽祭の制作室長を務める。
    2019年に退社後、合同会社ノヴェレッテを設立した。
    https://www.novellette-arts.com/
    青山学院大学 総合文化政策学部 非常勤講師。

CONTENTS

 写真でたどるラドゥ・ルプー
 はじめに(板垣千佳子)

part I 20のインタビューと寄稿によるラドゥ・ルプーの物語

寄稿|サー・アンドラーシュ・シフ|ピアニスト
 ルプーに捧ぐ
 Hommage à Lupu

インタビュー|ミッシャ・マイスキー|チェロ奏者
 ラドゥとの出会いはとても重要で、
 音楽づくりは私にとって特別な時間でした。

寄稿|ボリス・ペトルシャンスキー|ピアニスト
 モスクワでのルプーとの思い出は
 私の記憶に深く焼きついています。

寄稿|アンヌ・ケフェレック|ピアニスト
 最初の音を聴いた瞬間に心に広がった
 感動と賞賛を一生忘れないでしょう。

インタビュー|チョン・キョンファ|ヴァイオリニスト
 ラドゥの音楽の魔法の力によって
 聴き手の魂は天空へと放たれます。

インタビュー|ディディエ・ド・コッティニー|オーケストラ事務局長
 友人として、録音嫌いのラドゥをもう困らせたくないのです。

インタビュー|ジェシカ・ナスミス&ロビン・ラフ|マネージャー、BBCディレクター
 インタビューを受けない理由──
 「何か語れるとしたら音楽を通してだけだ」

インタビュー|ガスリー・リューク|ピアニスト
 数多く聴いたラドゥの“歌”。
 衝撃のあまりピアノの前に座れなくなったことも。

寄稿|ジェニー・フォーゲル|マネージャー
 あわやキャンセル、
 ニューヨークの凍える夜の散歩

インタビュー|ヘレン・ターナー|マネージャー
 誇り高き完璧主義者。
 でも、マネージャーを困らせる人ではありませんでした。

インタビュー|ダニエル・バレンボイム|指揮者、ピアニスト
 ラドゥとは音楽を通してお互いを知り尽くしているので、
 特別な親近感を感じます。

インタビュー|フランツ・ウェルザー=メスト|指揮者
 ラドゥと共有した「美しさの追求」。
 私たちは音楽的に理解しあっていました。

寄稿|フィリップ・カサール|ピアニスト
 ラドゥ・ルプーが小声で明かしてくれる
 内なる世界の景色。

インタビュー|ジャン゠エフラム・バヴゼ|ピアニスト
 人生に迷う私にラドゥが教えてくれた音楽づくりの哲学。

インタビュー|ミシェル・ブランディス|調律師
 それはピアノの音ではなく、「ラドゥ・ルプーの音」なのです。

インタビュー|ネルソン&ルスダン・ゲルナー|ピアニスト
 魅力と発見にあふれたアドバイス。
 彼の言葉はすべて私の心に刻まれています。

インタビュー|ユリアンナ・アヴデーエワ|ピアニスト
 ラドゥのロシア語はとても豊かです。
 聞き上手で、いつも何かを与えてくれる人です。

インタビュー|チョ・ソンジン|ピアニスト
 「教えない、聴くだけだよ」
 ラドゥのローザンヌでのレッスンで──

寄稿|スティーヴン・イッサーリス|チェロ奏者
 ラドゥ・ルプーとの旅の軌跡

寄稿|エリザベス・ウィルソン|作家
 ラドゥ・ルプー
 ──モスクワでの学生時代の思い出をたどって。

part II ルプーのほうへ(青澤隆明)
 ルプーの音楽はどこからやってきたのか

 物語の終わりに(板垣千佳子)

 ラドゥ・ルプー 年譜
 ラドゥ・ルプー 日本公演の記録
 ラドゥ・ルプー ディスコグラフィー