ドビュッシー、ガーシュウィン、ストラヴィンスキー、ケージ……
音楽上の革新はどのように楽譜に書き記されたのか。
演奏家×作曲家×音楽学者のコラボレーションによる知的興奮あふれる講義録!
伝統的な音楽語法に飽き足らず、まったく新しい表現を模索した20世紀の作曲家たち。
彼らは音楽記号を変形したり、新しく考案したり、五線を使わない記譜法を開発したりして、みずからの着想を書き記そうとした。
ドビュッシーの静寂・沈黙の音楽はどう記譜されたのか。
ストラヴィンスキーの原始主義はどのように記述されているのか。
ガーシュウィンはジャズのイディオムをどう楽譜で表現したのか。
ケージやヴァレーズの実験性は楽譜からどう読みとれるのか──
作曲家、音楽学者、演奏家がタッグを組み、
作曲家たちがおこなった〈紙の上の革命〉の真相を明らかにする。
国立音楽大学でおこなわれた知的興奮あふれる連続講義を書籍化。
ジャズ・ピアニスト小曽根真のガーシュウィン論も収録!
ためし読みもできます! こちらからどうぞ。
プロフィール
久保田慶一(くぼた・けいいち)
東京藝術大学大学院修士課程を修了。フライブルク大学、ハンブルク大学、ベルリン自由大学に留学。東京学芸大学教授、国立音楽大学教授、同音楽研究所長、同副学長を経て、現在、東京経済大学客員教授、放送大学講師。音楽学博士(東京藝術大学大学院)。専門は西洋音楽史および音楽理論。白石美雪(しらいし・みゆき)
東京藝術大学大学院音楽研究科修了。専門は音楽学。ジョン・ケージを出発点に20世紀の音楽を幅広く研究するとともに、批評活動を通じて、現代の創作や日本の音楽状況について考察してきた。近年は明治期から昭和期に至る日本の音楽評論の成立もテーマにしている。
著書に『すべての音に祝福を ジョン・ケージ 50の言葉』(アルテスパブリッシング)、『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』(武蔵野美術大学出版局、第20回吉田秀和賞受賞)、共編著に『音楽論』(武蔵野美術大学出版局)、共著に『音楽用語の基礎知識』(アルテスパブリッシング)、『はじめての音楽史』(音楽之友社)、『武満徹 音の河のゆくえ』(平凡社)ほか、共訳書にディック・ヒギンズ『インター・メディアの詩学』(国書刊行会)など。現在、武蔵野美術大学教授、国立音楽大学非常勤講師。井上郷子(いのうえ・さとこ)
ピアニスト。専門は現代音楽演奏、作品および奏法研究。主なレパートリーは、近藤譲、ジョン・ケージ、モートン・フェルドマン、リュック・フェラーリ、現代日本のピアノ作品など。東京学芸大学大学院作曲科修了。第10回佐治敬三賞受賞。現在、国立音楽大学教授。森垣桂一(もりがき・けいいち)
東京藝術大学、パリ国立高等音楽院、サンクトペテルブルク音楽院で学ぶ。第42回日本音楽コンクール作曲部門第1位、平成12年度芸術祭優秀賞受賞。現在、国立音楽大学および大学院特任教授、東京音楽大学各講師。日本現代音楽協会副理事長。専門は作曲・作曲理論。池原舞(いけはら・まい)
早稲田大学講師:音楽学伊東信宏(いとう・のぶひろ)
大阪大学大学院文学研究科教授:音楽学梅本実(うめもと・みのる)
国立音楽大学教授:ピアノ小曽根真(おぞね・まこと)
国立音楽大学教授:ジャズピアノ、作・編曲柿沼敏江(かきぬま・としえ)
京都市立芸術大学名誉教授:音楽学今野哲也(こんの・てつや)
国立音楽大学、玉川大学、桐朋学園大学各非常勤講師:音楽理論長木誠司(ちょうき・せいじ)
1958年福岡県出身。東京大学大学院教授、音楽評論家。『朝日新聞』『レコード芸術』などに定期的に寄稿。東京大学文学部、東京藝術大学大学院博士課程修了。1986–88年、ドイツ学術交流会の奨学生としてドイツのボンに留学。2005年、文部科学省の派遣でベルリン自由大学の客員研究員。2019年、ベルリン芸術大学客員研究員。オペラおよび現代の音楽を多角的に研究中。著書に『前衛音楽の漂流者たち──もう一つの音楽的近代』(1993)、『グスタフ・マーラー全作品解説事典』(1994)、『フェッルッチョ・ブゾーニ──オペラの未来』(1995)、『第三帝国と音楽家たち』(1998)、『戦後の音楽』(2010)、『オペラの20世紀──夢のまた夢へ』(2015)など。1993年度第4回出光音楽賞、平成27年度(第66回)芸術選奨評論等部門受賞。土田英介(つちだ・えいすけ)
桐朋学園大学教授:作曲・作曲理論長島剛子(ながしま・たけこ)
国立音楽大学教授:声楽・ドイツ歌曲中田朱美(なかた・あけみ)
国立音楽大学ほか非常勤講師:ロシア・ソヴィエト音楽福田隆(ふくだ・たかし)
国立音楽大学元教授、現在、熊本学園大学特命教授:打楽器安良岡章夫(やすらおか・あきお)
東京藝術大学理事・副学長:作曲
CONTENTS
はじめに
第1章 20世紀音楽の楽譜を読む
──作曲家の発想の変化が楽譜の変化を生む
白石美雪 聞き手:久保田慶一
第2章 あふれる想いを書き綴った楽譜
──ドビュッシーの静寂・沈黙の音楽
森垣桂一
第3章 原始のエネルギーはどのように楽譜化されたか
──ストラヴィンスキーの原始主義
白石美雪+池原舞
第4章 民俗音楽の採譜と作品の記譜
──バルトークのヴァイオリン音楽
伊東信宏
第5章 革新的な発想で書かれた楽譜
──ロシア・アヴァンギャルドの音楽
中田朱美
第6章 ジャズのイディオムはどのように楽譜化されたか
──ガーシュウィンのシンフォニック・ジャズ
小曽根真
第7章 語りと歌の狭間で
──シェーンベルクの表現主義
長島剛子+梅本実
第8章 新しい音律を求めて
──パーチの創作楽器
柿沼敏江
第9章 内部奏法からプリペアド・ピアノまで
──カウエルとケージの新しいピアノ
白石美雪+井上郷子
第10章 極小形式と楽器法
──ひとつの根本思想から発展するヴェーベルンの音楽
安良岡章夫
第11章 ノイズに満ちた音楽を書きとめた楽譜
──ヴァレーズの音楽
森垣桂一+福田隆
第12章 リリカルな表現の記譜
──ベルクの音楽
土田英介
第13章 さまざまな音楽要素が混在する音楽
──ストラヴィンスキーの新古典主義《兵士の物語》
森垣桂一
第14章 同時代そのものがひしめく機械とノイズの音楽
──ヒンデミットの時事的音楽
長木誠司
楽曲解説/年表
あとがき
索 引