現代音楽を代表する作曲家の全作品・全生涯を
演奏・研究の第一人者が徹底的に解説する
日本初のシュトックハウゼン入門書にして決定版。
20世紀ドイツが生んだ大作曲家、カールハインツ・シュトックハウゼン。
彼の生涯と作品をたどることでその創作の全貌を明らかにする。
処女作〈ドリスのための合唱曲〉から
電子音楽の金字塔〈テレムジーク〉、〈少年の歌〉
70年代の傑作〈シリウス〉、超大作オペラ〈光〉、
そして絶筆にいたるまで――
全作品を網羅した詳細な解説に加え、
「モメント形式」「フォルメル技法」といった
シュトックハウゼンが用いた作曲技法、
幼少期のエピソード、大阪万博、9.11での発言など
氏を取り巻いた周囲の状況までをも詳述した
日本初のシュトックハウゼン入門書にして決定版。
作品を収録した公式CDの情報や
独・シュトックハウゼン財団協力のもと、
多数の譜例・図版・写真を掲載。
プロフィール
松平 敬(まつだいら・たかし)
愛媛県宇和島市に生まれる。東京藝術大学卒業、同大学院修了。現代声楽曲のスペシャリストとして、湯浅譲二、松平頼暁、高橋悠治、池辺晋一郎、西村朗、近藤譲、三輪眞弘など100曲以上の作品を初演する。また、9度に及ぶシュトックハウゼン講習会参加の経験を生かし、『空を私は散歩する』、『歴年』などシュトックハウゼンの演奏至難な大作の日本初演に携わる。全曲無伴奏独唱曲によるリサイタル、東京23区の区歌・愛唱歌を網羅する演奏会など、独創的な企画も話題を呼ぶ。2012年のサントリー芸術財団サマーフェスティバル、クセナキス『オレステイア』公演では、3オクターヴの音域を駆使した壮絶な歌唱が、新聞各紙などから高い評価を得た。CD録音においても、一人の声の多重録音を駆使した『MONO=POLI』(平成22年度文化庁芸術祭レコード部門優秀賞)及び『うたかた』、一柳慧、ケージなど、通常の五線譜を使用しない作品ばかりを集めた『エクステンデッド・ヴォイセス』と、個性的なアルバムを発表。チューバの橋本晋哉氏とのユニット「低音デュオ」名義でも2枚のCD、『ROTATION』、『双子素数』(『レコード芸術』準特選盤)をリリース。現在、聖徳大学、文教大学講師、日本声楽アカデミー会員。低音デュオ、双子座三重奏団メンバー。松平敬ウェブサイト http://matsudaira-takashi.jp/
CONTENTS
まえがき
第0章 シュトックハウゼン創作活動概観
1950年代前半 点の音楽、群の音楽、電子音楽
セリエリズム
1950年代後半 不確定性、多義性、モメント形式
1960年代 ライヴ・エレクトロニクス、即興演奏、直観音楽
1970年代以降 フォルメル技法、演劇性、『光』、『クラング』
第1章 シュトックハウゼンの幼少期
作曲家への道 シュトックハウゼンの幼少期
戦争孤児から作曲家へ
第2章 1950年代
ドリスのための合唱曲 コラール CHÖRE FÜR DORIS / CHORAL
3つの歌曲 DREI LIEDER
ソナチネ SONATINE
ダルムシュタットでの衝撃体験
クロイツシュピール KREUZSPIEL
フォルメル FORMEL
メシアン、ブーレーズとの出会い
シュピール SPIEL
打楽器三重奏曲 SCHLAGTRIO
ピアノ曲I-IV KLAVIERSTÜCKE I-IV
プンクテ PUNKTE
エチュード ETUDE
コントラ゠プンクテ KONTRA-PUNKTE
習作I、II STUDIE I / II
マイヤー゠エプラーの元での学習
ピアノ曲V-VIII KLAVIERSTÜCKE V-VIII
テンポの半音階について
グルッペン GRUPPEN
繰り返し演奏することの意義
ツァイトマーセ ZEITMASZE
少年の歌 GESANG DER JÜNGLINGE
ピアノ曲XI KLAVIERSTÜCK XI
ツィクルス ZYKLUS
ルフラン REFRAIN
3×ルフラン 2000 3×REFRAIN 2000
コンタクテ KONTAKTE
モノフォニー MONOPHONIE
カレ CARRÉ
第3章 1960年代
マリー・バウアマイスターとの出会い マリー、ドリスとの三角関係
ピアノ曲IX、X KLAVIERSTÜCKE IX, X
オリギナーレ ORIGINALE
モメンテ MOMENTE
プラス=マイナス PLUS-MINUS
ミクストゥール MIXTUR
ミクストゥール2003 MIXTUR 2003
ミクロフォニー I MIKROPHONIE I
キュルテンの新居
ミクロフォニーII MIKROPHONIE II
ストップ STOP
ストップとスタート STOP und START
テレムジーク TELEMUSIK
ソロ SOLO
アデュー ADIEU
ヒュムネン HYMNEN
プロツェシオン PROZESSION
アンサンブル ENSEMBLE
シュティムング STIMMUNG
短波 KURZWELLEN
7つの日より AUS DEN SIEBEN TAGEN
1つの家のための音楽 MUSIK FÜR EIN HAUS
シュピラール SPIRAL
ヒュムネン(オーケストラ付き版) HYMNEN
ドクターK六重奏曲 Dr. K – SEXTETT
フレスコ FRESCO
ベートーヴェンを伴う短波 KURZWELLEN mit BEETHOVEN
エキスポ EXPO
ポーレ POLE
第4章 1970年代 『光』以前
大阪万博
マントラ MANTRA
来たるべき時のために FÜR KOMMENDE ZEITEN
星の響き STERNKLANG
トランス TRANS
リエージュのためのアルファベット ALPHABET für Liège
空を私は散歩する AM HIMMEL WANDRE ICH
ユレム YLEM
祈り INORI
HUについてのレクチャー VORTRAG ÜBER HU
秋の音楽 HERBSTMUSIK
おなかの音楽 MUSIK IM BAUCH
ティアクライス(十二宮) TIERKREIS
シュトックハウゼン出版の設立
ハルレキン(道化師) HARLEKIN
小ハルレキン DER KLEINE HARLEKIN
シリウス SIRIUS
アムール AMOUR
呼吸から命が生まれる ATMEN GIBT DAS LEBEN
ユビロイム(記念祭) JUBILÄUM
友情をこめて IN FREUNDSCHAFT
第5章 光
光 〜 一週間の七つの日 LICHT – Die sieben Tage der Woche
『光 LICHT』の概要
3人の主人公、および7つの曜日の象徴
ズーパーフォルメル
「迎え」と「別れ」
派生作品
演奏者との関係
歴年 DER JAHRESLAUF
光の木曜日 DONNERSTAG aus LICHT
木曜日の迎え DONNERSTAGS-GRUSS
第1幕:若き日のミヒャエル MICHAELs JUGEND
第2幕:ミヒャエルの地球旅行 MICHAELs REISE UM DIE ERDE
第3幕:ミヒャエルの帰郷 MICHAELs HEIMKEHR
木曜日の別れ DONNERSTAGS-ABSCHIED
初演時での合唱団ストライキ
光の土曜日 SAMSTAG aus LICHT
土曜日の迎え SAMSTAGS-GRUSS
第1場面:ルツィファーの夢 LUZIFERs TRAUM
第2場面:カティンカの歌 KATHINKAs GESANG
第3場面:ルツィファーの踊り LUZIFERs TANZ
第4場面:ルツィファーの別れ LUZIFERs ABSCHIED
カティンカの歌:フルートと電子音楽のための版
夢のフォルメル TRAUM-FORMEL
協奏曲のためのカデンツァ
光の月曜日 MONTAG aus LICHT
月曜日の迎え MONTAGS-GRUSS
第1幕:エーファの1度目の出産 EVAs ERSTGEBURT
第2幕:エーファの2度目の出産 EVAs ZWEITGEBURT
第3幕:エーファの魔法 EVAs ZAUBER
月曜日の別れ MONTAGS-ABSCHIED
フラウティナ FLAUTINA
クヴィット QUITT
イプシロン YPSILON
光の火曜日 DIENSTAG aus LICHT
火曜日の迎え DIENSTAGS-GRUSS
第1幕:歴年 JAHRESLAUF
第2幕:侵入─爆発、そして別れ INVASION – EXPLOSION mit ABSCHIED
スーカト SUKAT
「シュトックハウゼン全集」の開始
光の金曜日 FREITAG aus LICHT
金曜日の誘惑 FREITAG-VERSUCHUNG
金曜日の迎え、金曜日の別れ FREITAGS-GRUSS und FREITAGS-ABSCHIED
光の水曜日 MITTWOCH aus LICHT
水曜日の迎え MITTWOCHS-GRUSS
第1場面:世界議会 WELT-PARLAMENT
第2場面:オーケストラ・ファイナリスト ORCHESTER-FINALISTEN
第3場面:ヘリコプター弦楽四重奏曲 HELIKOPTERSTREICHQUARTETT
第4場面:ミヒャエリオン MICHAELION
水曜日の別れ MITTWOCHS-ABSCHIED
『光の水曜日』全曲初演までの荊の道
シュトックハウゼンの墓のデザイン
ヨーロッパの迎え EUROPA-GRUSS
水曜日のフォルメル MITTWOCH-FORMEL
ピアノ曲XVIII KLAVIERSTÜCK XVIII
トランペッテント TRUMPETENT
リタナイ 97 LITANEI 97
光の日曜日 SONNTAG aus LICHT
第1場面:光=水(日曜日の迎え) LICHTER – WASSER(SONNTAGS – GRUSS)
第2場面:天使の行進 ENGEL-PROZESSIONEN
第3場面:光の像 LICHT-BILDER
第4場面:香=印 DÜFTE – ZEICHEN
第5場面:至高の時 HOCH-ZEITEN
日曜日の別れ SONNTAGS-ABSCHIED
光線 STRAHLEN
シュトックハウゼン講習会
9・11テロに関する発言の波紋
第6章 クラング
クラング(音) 〜 1日の24時間 KLANG – Die 24 Stunden des Tages
『クラング』の概要
1時間目:昇天 1. Stunde: HIMMELFAHRT
2時間目:喜び 2. Stunde: FREUDE
3時間目:自然な持続時間1-24 3.Stunde:NATÜRLICHE DAUERN1-24
4時間目:天国の扉 4. Stunde: HIMMELS-TÜR
24のテュリン 24 TÜRIN
5時間目:ハーモニー 5. Stunde: HARMONIEN
カティカティ KATIKATI
6時間目:美 6. Stunde: SCHÖNHEIT
7時間目:バランス 7. Stunde: BALANCE
8時間目:幸福 8. Stunde: GLÜCK
9時間目:希望 9. Stunde: HOFFNUNG
10時間目:輝き 10. Stunde: GLANZ
11時間目:忠誠 11. Stunde: TREUE
12時間目:目覚め 12. Stunde: ERWACHEN
13時間目:宇宙の脈動 13. Stunde: COSMIC PULSES
14時間目:ハヴォナ 14. Stunde: HAVONA
15時間目:オルヴォントン 15. Stunde: ORVONTON
16時間目:ウヴェルサ 16. Stunde: UVERSA
17時間目:ネバドン 17. Stunde: NEBADON
18時間目:イェルゼム 18. Stunde: JERUSEM
19時間目:ウランツィア 19. Stunde: URANTIA
20時間目:エデンツィア 20. Stunde: EDENTIA
21時間目:楽園 21. Stunde: PARADIES
第7章 天国の扉へ
ティアクライス:トリオ版 TIERKREIS Trio-Version
ティアクライス:2003年版 TIERKREIS Version 2003
5つの星座 FÜNF STERNZEICHEN
続・5つの星座 FÜNF WEITERE STERNZEICHEN
シュトックハウゼンの最期
あとがき
参考文献
索引