この天才に、時代がやっと追いついた!
バロック音楽の時代を切り開いた巨匠モンテヴェルディの4つの代表作を
歌手・演出家ならではの視点から徹底解説する。
生誕450+1年!
モンテヴェルディが創り上げたバロック・オペラの世界は、こんなにも意味深&抱腹絶倒だった!
4つの代表作を知り尽くすカウンターテナー歌手が、その魅力と聴きどころを思い入れたっぷりに紹介する!
《オルフェオ(L’Orfeo)》(1607)
世界最古のオペラ/オルフェオ伝説と日本神話/悲劇か大団円か ほか
《聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)》(1610)
超絶メリスマ&エコー/わらべ唄と三拍子/頑張れコルネット! ほか
《ウリッセ 祖国への帰還(Il ritorno d’Ulisse in patria)》(1641)
英雄譚のはずが「人間の儚さ」?/お笑いネタは大食いおデブちゃんにおまかせ ほか
《ポッペアの戴冠(L’Incoronazione di Poppea)》(1642/43?)
ケルビーノの原型?/キング・オブ・ドゥエット/《ポッペアの戴冠》は不道徳なオペラ? ほか
プロフィール
彌勒忠史(みろく・ただし)
カウンターテナー歌手。平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(音楽部門)をカウンターテナーとして史上初めて受賞。千葉大学卒業。同学大学院修了。東京藝術大学声楽科卒業。国内外のオペラ・コンサート、テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHKラジオ「まいにちイタリア語」などのテレビ・ラジオ番組に出演。CDに『No early music, No life?』(OMF/朝日新聞推薦盤)など。著書に『歌うギリシャ神話──オペラ・歌曲がもっと楽しくなる教養講座』(アルテスパブリッシング)、『イタリア貴族養成講座』(集英社)など。NHK語学テキスト『テレビでイタリア語』『ぶらあぼ』『教育音楽』等に連載寄稿。イタリア国立G.フレスコバルディ音楽院講師、東京藝術大学音楽学部声楽科教育研究助手を経て、現在、放送大学、学習院生涯学習センター非常勤講師。在日本フェッラーラ・ルネサンス文化大使。日本演奏連盟、二期会会員。男声ユニットLa Dillリーダー。日本音楽コンクール、東京音楽コンクールなどの審査員。2016年、佐渡裕指揮《夏の夜の夢》では主役のオベロンを、市川海老蔵特別公演《源氏物語》では歌唱および洋楽アドバイザーを務めた。
CONTENTS
はじめに
裏声歌手がモンテヴェルディを偏愛するわけ
クラウディオ・モンテヴェルディの生涯
モンテヴェルディ作品を演出する
「演出ノート」のようなもの〜オペラを楽しむためのお手伝い
《オルフェオ》演出ノート
《ウリッセの帰還》演出ノート雑記
《ポッペアの戴冠》演出ノート
日本の伝統芸能とオペラ
本書の楽しみ方について
オルフェオ(L’Orfeo)
裏声歌手はいかにして西洋音楽史を攻略したか
カメラータとオペラの誕生
世界最古のオペラ
オーケストラの原点でもあった《オルフェオ》
プローロゴと「音楽」
オルフェオ伝説と日本神話
オルフェオの物語
エウリディーチェの死
妻を取り戻しに冥界へ
音楽の力で冥界王夫妻を説得
けっして振り向いてはならぬ
悲劇か大団円か
異なる結末
聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)
古本と廉価盤
〈二人のセラフィム〉と分身の術
《聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)》
二つの音楽様式
モノディーによる〈私は黒いが美しい〉
〈主は私の主にいわれた(Dixit Dominus Domino meo)〉
〈褒め讃えよ 主のしもべたちよ(Laudate, pueri Dominum)〉
〈あなたは美しい 私の愛しい人よ(Pulchra es amica mea suavis)〉
〈私は喜んだ(Laetatus sum)〉
ロム・アルメとともに
〈主が家を建てられるのでなければ(Nisi Dominus)〉
〈お聞きください 天よ 私の言葉を(Audi coelum verba mea)〉
超絶メリスマ&エコー
〈めでたし海の星よ(Ave maris Stella)〉
わらべ唄と三拍子
Ave maris Stella の変奏
《マニフィカート(Magnificat)》
頑張れコルネット!
エコーについて
ウリッセ 祖国への帰還(Il ritorno d’Ulisse in patria)
トロイア戦争と《イドメネオ》
漂流のヒーロー、ウリッセ(オデュッセウス)
英雄譚のはずが「人間の儚さ」?
民衆に開かれた劇場で育つオペラ
順次進行のバス旋律が導き出すドラマとは
バロック・オペラにおける神々と人間の交流
お笑いネタは大食いおデブちゃんにおまかせ
ヘンツェによる再構成版《ウリッセ 祖国への帰還》
《タンクレーディとクロリンダの戦い》から続くバッタリアの表現
愛の二重唱と大団円
ポッペアの戴冠(L’Incoronazione di Poppea)
モンテヴェルディの一番人気オペラ
世界は愛で動いている
盲目のぼうずとハゲの女?
皇后のラメント
小姓(コショウ)でドラマにスパイスを
「愛している」のか「欲しい」のか
ケルビーノの原型?
乳母とアモーレに守られて
お笑い担当の存在
さらばローマといおう
キング・オブ・ドゥエット
《ポッペアの戴冠》は不道徳なオペラ?
あとがき
参考文献
本文掲載写真撮影/モンテヴェルディ作品 上演記録