武満徹の電子音楽

定価:本体12000円[税別]

  • A5判・上製(箱入) | 1160頁
  • 発売日 : 2018年7月14日
  • ISBN 978-4-86559-185-9 C0073
  • ジャンル : クラシック/現代音楽/作曲家
  • ブックデザイン:佐々木暁 装画:ブルーノ・ムナーリ

作曲家は、テクノロジーに何を夢みたのか──
日本の電子音楽70周年の今年、
武満徹研究の決定版がついに刊行!!

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訂正情報→https://artespublishing.com/news/takemitsu_eratta/
追加情報→http://kojiks.sakura.ne.jp/takemitsu2.html

★佐々木敦さん(批評家、HEADZ)推薦!!
あの伝説の「月刊デスコ」から『武満徹の電子音楽』に至るまで、川崎弘二のスタンスは一貫している。
すなわち、調べて、調べて、調べて、調べ尽くした上で、更に調べ続けること。
その終わりなき作業の只中から、音楽の秘密の歴史が、音楽の歴史の秘密が、悠然と、敢然と立ち上がる。
アカデミシャンの出世願望ともマニアの自己陶酔とも全く違った、純然たる「知ること」への欲望、
知れば知るほど知らないことが無限に出てくるというエンドレス調査発掘発見の悦びが、そこには溢れかえっている。
音楽研究のポトラッチ、音楽批評の真のハードコア、これがそれだ。

★高橋アキさん(ピアニスト)推薦!!
1968年4月、私は武満さんたちとタクシーに乗っていた。
そこに突然、マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたというショッキングなニュースがラジオから飛び込んできた。
そして暗殺前日のキング牧師の演説が流された。武満さんはすぐに同乗のマネジャーに
「この演説の録音を手に入れられますか」と声をかけた。私はその思いがけない言葉に驚いた。
同時に「あぁ、追悼の音楽をミュジック・コンクレートで作るつもりなのかな?」と閃いた。
実際作られたのかは知らない。けれどあの頃はミュジック・コンクレートという発想が自然に出てくる時代だった。
後年、武満徹というとドビュッシー、メシアンの流れを汲む流麗な音色のオーケストラや室内楽の作品、
またポップなソング集の作曲家のイメージが定着するけれど。

この本は驚くほど綿密に調べた資料から構成されている。
如何に武満が十代の頃からミュジック・コンクレートに興味を抱き、これからの音楽として、
映画、演劇、放送などの作曲で、さまざまに実験を重ねていたかがよくわかり興味が尽きない。
これは天才的作曲家、武満徹の通過して来た時代の証であり、
また共に生きて仕事をしてきた人たちの記録ともなっていて大変貴重だ。

★Koji Nakamuraさん(音楽家)推薦!!
川崎さんの本に出会ったのは、10年ほど前、家具屋で買い物をしていた時だった。
家具屋に置いてあった「日本の電子音楽」というタイトルの本は、私の興味をそそった。
ちょうどNHK電子音楽スタジオの音源を収録したCD「音の始源を求めて」のリリースもあったからだろう。
日本の電子音楽の歴史をそれほど知らなかった私は、その本の内容に驚いた
。日本の電子音楽がとてもモダンで先駆的で、柔軟で、独創的で。私の中の日本の電子音楽のイメージは大きく変わった。

新しい本は武満徹の本である。この本を読み始めた前後に、数人の音楽家たちと新しく出会い、
各々の理想、描くビジョンのような音楽の話をしていた。
「調律された音楽のなかに騒音をもちこむ」この本の冒頭でもでてくる武満徹の言葉と同じような事を皆言っていた。
私は奇妙な気分になった。1950年代の若い武満徹と今いる音楽家たちが同じ想いのまま、音楽と自分と格闘している。
60年以上前の遠い過去の話ではなく、この言葉への想いはテクノロジーが進んだ今でも本質は何も変わらず今も存在している。
それは、我々が日本人だから出てくる感覚なのかもしれない。

この本では武満徹を軸に、知らなかった50年代、60年代の日本のエンターテイメント/カルチャーの様子が書かれている。
そして、オリンピック、万博の様子も。これまた奇妙なことに、いま日本は新たなオリンピックそして2025年大阪万博をひかえている。
あの時の日本人が何を考え、そして今の日本人が何を選択していくのか。この本、武満さんを通して何か感じるものがあると思う。

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「電子音楽」=「テクノロジー」を糸口に、
膨大な一次資料と最新技術を駆使した音響分析に基づいて、
武満徹の全生涯と全作品をかつてない精度で検証した
電子音楽研究の第一人者、川崎弘二による畢生の大作。

詳細をきわめる記述の射程は武満徹個人の活動にとどまらず、
戦後の電子音楽/現代音楽界はもちろんのこと、
ラジオ、テレビなどの放送メディアや映画、前衛芸術、現代詩、
演劇といったさまざまな分野の状況や交流、
さらには日本に電子音楽が浸透していく過程まで、
本書は広く明らかにしていきます。

また、これまで知られていなかった50を超す武満作品や、
今回新たに判明した本人の発言など、多くの新発見と新事実も発掘。
1000項目を超える索引も付し、最強の武満徹事典としても必携!!

装画:ブルーノ・ムナーリ
『Sistemazione in giardino su basamento in pietra』(1990)

*[郵便振替・銀行振込でご予約・ご購入の方へ]
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    !!!早期購入者特典としてオリジナルCDをプレゼント!!!
    宇都宮泰氏が新たにデジタル化/修復を施した
    武満徹最初期の貴重なテープ音楽作品 「ルリエフ・スタティク」(1955)を収録。
    本書挟み込みの応募はがきに必要事項をご記入のうえ、
    弊社までお申し込みください。8月1日より順次発送いたします。
    応募締切:2018年8月31日(金)消印有効

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【本書のポイント】
◎今からちょうど70年前の1948年、
ピエール・シェフェールが世界初のミュジック・コンクレート作品を発表しましたが、
武満は同じ年にミュジック・コンクレートを着想したと語っています。
つまり、今年は日本の電子音楽生誕70周年の記念すべき年でもあります。

◎武満徹全集に未登録の作品の存在を50点ほど発掘。
そのいくつかは作品自体も発見し、分析を行っています。
さらに単行本などに未収録の武満のテキスト、インタビュー、対談なども多数発掘しています。

◎本書執筆中の調査で、武満徹が手がけた映画音楽は120本と判明。
そのうち著者が手に入れた作品は93本あり、そのすべての音楽を分析しています。
とくに中平康『狂った果実』、松本俊夫『銀輪』(ミュジック・コンクレート)、
勅使河原宏『砂の女』、小林正樹『怪談』(テープ音楽)、黒澤明『乱』などの
電子音楽的手法が使用された作品については詳細に分析をおこない、
武満徹と電子音楽の関わりに迫りました。

◎武満が最初に結成したマルチメディア/インターメディア的な
アーティスト集団「実験工房」は、詩人の瀧口修造が後見的な役割を果たし、
山口勝弘、北代省三、大辻清司などの美術・造形作家たちや、
湯浅譲二ら作曲家たちがメンバーにいました。
そうした戦後の前衛美術シーンも詳述しています。

◎創設間もない劇団四季では、若き日の武満、林光、間宮芳生らが音楽を手掛けていました。
現在の華々しいミュージカル・カンパニーのイメージとはほど遠く、
日本で最初のミュジック・コンクレートによる音楽を伴う公演を
劇団四季はおこなっていたのです。
その先鋭的な演劇集団であった時代の劇団四季の活動にも迫ります。

◎NHKの初期子供テレビ番組の音楽を多数、武満は手掛けていました。
黎明期の放送メディアと、前衛音楽のかかわりを示す資料は少なかったのですが、
今回の調査で武満が手がけた作品の存在がいくつも新たに見つかりました。

◎黛敏郎が1955年11月に日本最初の電子音楽を放送初演する4ヶ月前、
すでに武満は電子音を使用したラジオ放送のための作品を手がけていました。
これまであまり知られていなかったその創作の先駆性を明らかにします。

◎日本の黎明期のラジオ放送では、立体放送というステレオ放送の試みが行われ、
NHKでは世界に先駆けてレギュラー放送がスタートしています。
武満もいちはやくステレオ放送のための作品をミュジック・コンクレートを使用して手がけ、
メディアの発達に大きく貢献しています。

◎1950年代の日本では全国各地に様々なニューメディアとしての
ラジオ放送が設立されました。
まだ番組制作のノウハウが確立していなかった時代に、
武満は録音再生技術という新しいメディアを武器にして、
芸術性の高いラジオ番組を多数手がけています。
こうしたラジオ局が設立され、スタジオが整備されていく過程を
各ラジオ局ごとに詳述しています。
本書は日本の放送メディア史としても読むことができるのです。

◎日本の電子音楽、ミュジック・コンクレートは、
日本の各放送局が自社の芸術性の高さと技術力を競い合う場としての
「芸術祭」(これは現在でも続いています)を舞台に発展したという側面もあります。
電子テクノロジーを援用した音楽作品が、芸術祭を舞台に進歩していったプロセスを解き明かします。

◎武満は「オーケストラル・スペース」「ミュージック・トゥディ」などのフェスティバル、
そして、日本万国博覧会の「鉄鋼館」などでプロデューサーを務めています。
戦後の日本を象徴する数々のメディア・イベントにおいて、
武満が未来に託した希望とは何だったのか、本書はその構想も明らかにしています。

◎テレビ・ドラマやテレビ・ドキュメンタリーの音楽も武満は手がけています。
和田勉による実験的なテレビ・ドラマ、
吉田直哉による世界の歴史を問い直すドキュメンタリー、
「夢千代日記」のような大衆の人気を獲得したテレビ・ドラマなどに対し、
武満が行ったさまざまな音響的実験についても分析を行っています。

◎武満は谷川俊太郎、大岡信、寺山修司らさまざまな詩人と
多くのコラボレーションをおこなっています。
つまり、武満の創作の歩みをたどることは、
日本の現代詩の歴史をたどることでもあるのです。

◎武満は文学者との共同作業も多く、
安部公房、石原慎太郎、江藤淳、大江健三郎、坂上弘らと同時代的に交流しています。
さらに、武満は50年代後半からの警職法改正反対、安保闘争、
ベトナム反戦運動、反核運動などに文学者らとともに参画し、
音楽家の立場から社会へどのようなメッセージを投げかけたかについても検証しています。

【内容見本(PDFファイル)】
武満徹の電子音楽_本文1

武満徹の電子音楽_本文2

武満徹の電子音楽_人名団体名索引

武満徹の電子音楽_作品索引

プロフィール

  • 川崎弘二(かわさき・こうじ)
    1970年大阪生まれ。2006年に『日本の電子音楽』、2009年に同書の増補改訂版(以上 愛育社)、2011年に『黛敏郎の電子音楽』、2012年に『篠原眞の電子音楽』、2013年に『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(以上 engine books)を上梓。CD『NHK 現代の音楽 アーカイブシリーズ』(ナクソス・ジャパン)における黛敏郎/湯浅譲二/松平頼暁/林光/石井眞木/一柳慧、実験工房の解説をそれぞれ執筆(2011〜13年)。2011年から雑誌『アルテス』にて「武満徹の電子音楽」を連載(2015年まで)。2014年にNHK Eテレ「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編」に小沼純一、三輪眞弘と出演。2013年から2014年にかけて神奈川県立近代美術館/いわき市立美術館/富山県立近代美術館/北九州市立美術館/世田谷美術館にて開催された「実験工房展」の関連イベント「ミュージック・コンクレート 電子音楽 オーディション 再現コンサート」を企画。2015年に開催された「サラマンカホール電子音響音楽祭」にてプログラム・アドバイザーを担当。2017年に芦屋市立美術博物館にて開催された「小杉武久 音楽のピクニック」展に企画協力/図録編集/上映会企画にて参加。http://kojiks.sakura.ne.jp/

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註  
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