わからない音楽なんてない!
子どものためのコンサートを考える

定価:本体2200円[税別]

  • 四六判・並製 | 360頁+カラー口絵8頁
  • 発売日 : 2015年11月25日
  • ISBN 978-4-86559-132-3 C1073
  • ジャンル : オーケストラ/音楽教育
  • 装丁:奥野正次郎(pororoca)/カバー装画:嶋津円香

子どもの聴く力を信じ、
未来の音楽文化を創造する。
マエストロ大友直人が心血を注いだ東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」のすべて。

子どもたちが定期会員となり、オーディションでソリストや演奏者になり、テーマ音楽やチラシの絵を応募して作り上げる史上かつてないコンサート。
大友直人、東京交響楽団、サントリーホールは何をめざしたのか──
「こども定期演奏会」の12年間をつぶさにドキュメントするとともに、バーンスタインの「ヤング・ピープルズ・コンサート」など世界の子ども向け演奏会の歴史をひもとき、子どもと音楽の理想的な出会いとはどのようなものかを考える。

日本図書館協会 選定図書

大友直人 (c) Rowland Kirishima
大友直人
(c) Rowland Kirishima

プロフィール

  • 大友直人(おおとも・なおと)

    桐朋学園大学を卒業。指揮を小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明、岡部守弘各氏に師事した。桐朋学園大学在学中からNHK交響楽団の指揮研究員となり、22歳で楽団推薦により同団を指揮してデビュー。
    現在、群馬交響楽団音楽監督、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団ミュージックアドバイザー。また、2004年から8年間にわたり、東京文化会館の初代音楽監督を務めた。
    2002年から12年間、東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」の指揮&お話を務める。
    第8回渡邊暁雄音楽基金音楽賞(2000年)、第7回齋藤秀雄メモリアル基金賞(2008年)を受賞。

  • 津上智実(つがみ・もとみ)

    お茶の水女子大学、東京藝術大学大学院、ドイツ・フライブルク大学(DAAD)に学ぶ。2006〜07年、英国ロンドン大学ならびにケンブリッジ大学客員研究員。
    現在、神戸女学院大学音楽学部教授(音楽学)、同学部アウトリーチ・センター長。
    2001年に日本の音楽系大学としては初のアウトリーチ教育を導入し、2002年に「子どものためのコンサート」シリーズを開始。
    著書に『ピアニスト小倉末子と東京音楽学校』(共著、東京藝術大学出版会、2011)、『神戸山本通時代の神戸女学院──女子教育の黎明期とその歩み』(編著、日本キリスト教団出版局、2015)などがある。

  • 有田 栄(ありた・さかえ)

    東京藝術大学音楽学部楽理科、同大学院音楽研究科修士課程を経て、同博士後期課程を修了。博士(音楽学)。専門は現代の音楽・音楽美学。
    西洋芸術音楽における声の文化、現代の「声の音楽」をテーマに研究をおこなう一方、音楽を身近に感じられるテーマでの本の執筆や、ラジオ・TV音楽番組への出演、公開講座や講演などを通じ、古楽から現代音楽までさまざまなジャンルの音楽の紹介につとめている。2002年から12年間、東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」のプログラム解説と台本を執筆した。
    現在、昭和音楽大学教授。NHK-FM「オペラ・ファンタスティカ」番組パーソナリティ。

CONTENTS

口 絵

はじめに(津上智実)

第1章 大友直人、「こども定期演奏会」を語る インタヴュー/構成:津上智実

第2章 「こども定期演奏会」の十二年──子どもたちと社会が作った演奏会(有田栄)
♪二〇〇一年度「こども定期演奏会──わくわく、ドキドキ、予告編」
♪二〇〇二年度
♪二〇〇三年度──楽器の楽しみ
♪二〇〇四年度──オーケストラ音楽の世界
♪二〇〇五年度──音楽のまち
♪二〇〇六年度──音楽の国〜音楽の街めぐり〜
♪二〇〇七年度──音楽の情景
♪二〇〇八年度──偉大なる作曲家
♪二〇〇九年度──偉大なる作曲家Ⅱ
♪二〇一〇年度──オーケストラのすばらしい世界
♪二〇一一年度──音の情景
♪二〇一二年度──オーケストラの魅力
♪二〇一三年度──オーケストラの楽器たち
♪「こども定期演奏会」を支える社会

第3章 子どものためのコンサートの歴史(津上智実)
♪アメリカ
♪イギリス
♪ヨーロッパ大陸
♪日本
♪朝日新聞の記事にみる「子ども&管弦楽」
♪青少年交響楽鑑賞会
♪群馬交響楽団の音楽鑑賞教室
♪東京朝日新聞文化事業団の音楽教室
♪日本フィルハーモニー交響楽団の「夏休みコンサート」
♪近年の動向
♪文化庁による教育プログラム
♪まとめ

第4章 「こども定期演奏会」のプログラムはどのように作られていたのか(津上智実)
♪累積的なプログラム構成
♪子どもの理解力に対する信頼──「子ども向け」でない作品の演奏
♪音楽の力に対する信頼──すぐれた音楽はおもしろい
♪「こども定期演奏会」の演奏曲
♪音楽の構成要素を理解するおもしろさ──ハーモニーなどの実験
♪聴くことの大切さ、静寂の重要性──静寂の実験
♪演奏会は人間的な交流の場という主張──拍手の実験
♪演奏会は人間的な交流の場という主張──団員の名前を呼んで顕彰する
♪子どもの音楽的可能性を拡げる工夫──こども奏者、テーマ曲募集、指揮者への質問
♪演奏会は複合体という主張──ポスター画募集、プログラム、レセプショニスト募集
♪スポンサー確保による一流の演奏陣の実現──一流のソリストたち
♪さらなる芸術体験へと誘う──CDやDVDで全曲、劇場でオペラやバレエを
♪音楽することの意味を語る
♪子どもたちを励ます語り
♪さらなる世界へと誘う──歴史や地理
♪子どもに対する敬意をもち、小さな大人として遇する

第5章 「読む」音楽作品──子どものための曲目解説とは?(有田栄)
♪読み手としての「子ども」
♪ターゲットをどこに置くのか
♪言葉を尽くしてていねいに説明すること
♪「きちんとした言葉づかい」で書くこと
♪基本的な修辞法・構成をふまえて書く
♪リズムよく書く
♪あえてむずかしい漢字・むずかしい言葉を使う
♪音楽の世界への導入として、どんな話題が必要か
♪そしていちばん必要なことは

第6章 子どもと音楽の未来のために(津上智実)
♪時間を守る
♪ニューヨーク・フィルの話
♪東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」のメリット
♪バーンスタインの考え方
♪子どもたちへの語り方
♪子どものためのコンサートの位置づけ
♪研究の必要性
♪子どものために弾く姿勢

あとがき

付 録
表1 「子ども定期演奏会」第1期(2002-13年度)プログラム一覧
表2 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)の作曲家別演奏曲一覧
表3 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)ソリスト一覧
表4 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)こどもソリスト一覧
表5 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)こども奏者一覧
表6 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)テーマ曲作曲者一覧
表7 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)チラシ絵描画者一覧
表8 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)配布プログラム紹介記事一覧
表9 「こども定期演奏会」第1期(2002-13年度)助成一覧
表10 神戸女学院大学音楽学部「子どものためのコンサート・シリーズ」一覧
表11 ラジオ番組「子供の時間」のオーケストラ演奏(1925-39年、朝日新聞掲載分)