外交官の耳、作曲家の眼

定価:本体2800円[税別]

  • A5判・並製 | 272頁
  • 発売日 : 2009年6月24日
  • ISBN 978-4-903951-18-8 C1073
  • ジャンル : クラシック/日本の作曲家
  • 装丁:下川雅敏 発行:「外交官の耳、作曲家の眼」刊行会

在庫切れ

日本に十二音技法をもたらした作曲家──
戸田邦雄が伝えてくれたこと

作曲を志しながら外務省に入り、外交官として活躍した戸田邦雄。
戦後、創作活動や大学で教鞭を執るかたわら、
音楽を超える広い視野から発表し続けた、豊潤な知性に溢れた音楽論の再録。
生い立ちを語った遺稿「想い出すまま」もあわせて掲載。

特に、作曲を「学習」する若者は、十二音技法を日本に持ち帰り、またセリーを「音列」と訳された戸田邦雄をして言わしめた「日本で考えているように、無調にするためにセリーを使うというのは逆で、望遠鏡を反対側からのぞいているようなものです」という言葉を熟考してほしい。(「解説にかえて」より)
──北爪道夫(作曲家・国立音楽大学教授)

プロフィール

  • 戸田邦雄(とだ・くにお)
    1915・8・11~2003・7・8 東京
    1915年東京生まれ。1938年東京帝国大学法科卒。同年外務省に入りドイツなど在外公館に勤務。この間ハイデルベルク大学で和声学・音楽学を聴講。 1941年帰国後、作曲を諸井三郎に師事。1943年《交響序曲イ短調》と交響詩《伝説》がビクター管弦楽懸賞に入選。1952年《交響曲ト調》が第1回尾高賞佳作。また『音楽芸術』等で数々の音楽論を発表するかたわら、長らく桐朋学園大学音楽学部(1955~76)、洗足学園大学音楽学部(1977~88)で教鞭をとった。

CONTENTS

八月に想う
 八月に想う
  情報は充分だった外務省の中
  米軍制空権下をサイゴンへ
  フランス料理から爆撃へ
  聴けなかった自作の初演
  フランス軍襲撃の計画
  阿波丸事件のこと
  若き国王シアヌーク陛下
  日本軍による“独立”のなかで
  近づく日本の無条件降伏  クーデター未遂、敗者に礼の厚いシアヌーク国王
  英軍進駐・楽譜も没収されて抑留へ
 抑留記
  サイゴン抑留所
  シンガポールの山中で
  サイゴン刑務所
  弟の死を知る
  釈放
  カンホイ・キャンプ
  十二音技法との出会い
  シェーンベルクとその楽派
  音列操作をノートに
  帰国
想い出すまま
 渋谷の家、そのほか
 父方と母方と
 父・母・兄弟たち
長い長い影法師
 チャメ子の原体験
 猫の話
 楽住接近
 「ディクション」と共通分母
 Quo vadis?
 語呂合わせ
 ト短調交響曲の想い出
 R・シュトラウス「薔薇の騎士」
 エリック・サティ
 ミヨーの想い出
 「第七」初演のころ
 ワーグナーの三つの家
 長い長い影法師
  少年時代と童謡
  春秋社の音楽全集
  シューベルトとの出会い
  シューベルトの歌曲をモデルとして
  「影法師」
論稿
 自分史の中の音楽戦後五十年
 十二音技法の功罪(あるいは私と十二音)
 古典主義的十二音技法とロマン主義的十二音技法 ~「モーゼとアロン」と「ルル」を中心として
 ドナウエッシンゲンとパリIMC総会出席記
 ベルク頌
 モーツァルトの鼻
 スクリャービンとメシアン
 ヨーロッパ音楽の民族的特性
 「日本の作品の国際的評価」ということ
 洋楽器の音・邦楽器の音
 伝統音楽と作曲家 ~近世邦楽世界の崩壊と新しい興味
 あるリズム論のためのスケッチ
 歌とオブジェ
 詩と作曲
 プロコフィエフ~その生涯と遺産
解説=北爪道夫
戸田邦雄年譜
初出一覧