〈いりぐちアルテス〉 008

レゲエ入門
世界を揺らしたジャマイカ発リズム革命

定価:本体1800円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・並製 | 272頁
  • 発売日 : 2018年8月27日
  • ISBN 978-4-86559-189-7 C1073
  • ジャンル : ポピュラー音楽/レゲエ
  • 装丁:原田光丞 装画:松橋 泉

レゲエ誕生の過程を解き明かした名著が
13年ぶりにパワーアップして再登場!

1960年代にカリブの小さな島国ジャマイカで生まれ、世界を席捲したレゲエ。
あの革命的なリズムはいったいどのようにして生まれたのか?

スカ、ロック・ステディからレゲエへ、
そしてダブ、DJ、ダンスホール、UKレゲエまで──
ジャマイカという国の成り立ちとともに、
レゲエ誕生の過程を明らかにし、その歴史をたどる!

本書は、2005年に音楽之友社より刊行された『ON BOOKS 21 レゲエ入門』に、
ボーナストラック2編と、20枚のディスク・ガイドを新たに追加収録した増補新版です。

◎第6章「レゲエの完成」本文より
 それではロック・ステディとレゲエの違いは、いったい何なのだろうか。
 ロック・ステディ期に生じたテンポのスロー・ダウンは、アップビートの位置にあったキーボードやギターのアクセント・リフをダウンビート化し、間延びした小節の分割を促した。それとともに、ドラムスの第3拍目(サード・ビート)へのアクセント移動が起きる。
 強いて言えば、この「長い小節」を半分に区切ってしまう決意がはっきりしたとき、つまりリズム的な曖昧さをもつ「スローなスカ」を、サード・ビート・アクセントへと意図的に変革した時点をもって、ロック・ステディからレゲエへの脱皮が完了したと考えていい。

プロフィール

  • 牧野直也(まきの なおや)
    1952年、東京生まれ。和光大学人文学部文学科卒業、同大学専攻科修了。専門は鎌倉期の仏教思想、中国訳経史研究。1981年から平凡社営業部の山形・秋田・青森・北海道地域担当。1985年に書籍制作会社を設立し、人文系の事典・辞書・年表などの企画・執筆に携わった後、住宅情報誌『マイルームガイド』の巻頭エッセイシリーズ「いつもここに来てしまう」の制作を担当、藤原真理、三枝成彰、角野栄子、田村隆一、阿久悠など約30名の音楽家・文学者に執筆を依頼。同時に、自己のレーベルとバンドを立ち上げ、音楽活動にも力を入れる。1998年3月から2000年7月まで、アイルランドを皮切りにメキシコ、中米、カリブ海、南米、アフリカ、ヨーロッパ、インドなど、音楽の源郷を訪ねる世界一周の旅を敢行。現在までに、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム、マレーシアなどインドシナ半島全域およびインドネシア、スリランカ、モルディブ、フィジー、トンガなどの島嶼国を中心に43の国・地域を旅している。著書に『チャーリー・パーカー伝 全音源でたどるジャズ革命の軌跡』(2022年、アルテスパブリッシング)、『レゲエ入門』(音楽之友社、2005年)、『リマリックのブラッド・メルドー』(2017年、アルテスパブリッシング)、増補新版『レゲエ入門——世界を揺らしたジャマイカ発リズム革命』(2018年、同)があるほか、DVD『BOB MARLEY: SPIRITUAL JOURNEY』(ナウオンメディア、2007年)をはじめ、DVDやCDの監修・解説などがある。

CONTENTS

はじめに

第1章 ジャマイカとはどんな国か
第2章 クミナとラスタファリアニズム
第3章 メントとカリプソ/出遅れたジャマイカ音楽
第4章 スカの誕生
第5章 ロック・ステディ登場
第6章 レゲエの完成
第7章 ボブ・マーリーとウェイラーズ
第8章 サウンド・システムとDJ
第9章 ダブ/新しい可能性の世界へ
第10章 ブル・ドラムとナイヤビンギ
第11章 ルーツ・レゲエからダンスホールへ
第12章 UKレゲエ

[Disc Guide]
Special Selection レゲエ名盤20選①〜⑤

[Bonus Track]
1. 初期サウンド・システムの歴史
2. オリジナル・ウェイラーズの軌跡

[Column]
1. アルファ・ボーイズ・スクールとスカタライツ
2. 『キャッチ・ア・ファイア』デラックス・エディションを読み解く
3. ラヴァーズ・ロックのはじまりについて

あとがき
新版あとがき

凡例
ジャマイカ全図
キングストン市街図
参考文献
人名索引