日本のワーグナー研究の最新動向を伝える年刊誌。
巻頭インタビューはダニエル・バレンボイム!
『ワーグナーシュンポシオン』は、わが国におけるワーグナー研究の成果やワーグナー芸術にかんする多様な情報を発信する年刊誌。
日本ワーグナー協会が創立から今日まで、ほぼ10年単位で誌名と編集方針を更新しつつ、刊行を続けていますが、今年からアルテスが発行・発売を担当することになりました。
「シュンポシオン」は、古代ギリシャで酒を酌み交わしながら行われていた議論のことで、プラトンの対話篇『饗宴』の原題でもあります。
本誌を、ワーグナーについて真摯かつ自由闊達に語り合う場にしたいとの願いが、この誌名にこめられています。
本号では、「ワーグナーの呪縛(1)」と題して、ブラームス、ニーチェ、ヒトラーなど「ワーグナーの呪縛」とかかわりをもった人々を取り上げるほか、山崎太郎氏、東野治之氏、樋口裕一氏をはじめ寄稿も充実。バイロイト音楽祭や国内の上演報告、内外の文献紹介ほか最新情報も満載しています。
プロフィール
日本ワーグナー協会
1980年4月11日に産声をあげた日本ワーグナー協会は、19世紀ヨーロッパの精神文化を代表するリヒャルト・ワーグナーの芸術を探求し、広く紹介すること、それによって日本の芸術文化に貢献することを目的としています。東京で開催される月例会、関西・名古屋等の定例会を活動の中心に、テーマ別に専門家を講師に招き、講演会、レクチャーコンサート、DVD鑑賞会、パネルディスカッションなどを開催し、ワーグナーの芸術を正しく紹介するよう努めています。また、来日中の外国の著名な演奏家、演出家、研究者らを招いた公開インタビューや、彼らを囲むパーティー等さまざまなプログラムも企画しています。出版活動では、多彩な執筆陣による年1回の総合研究誌『ワーグナー・パースペクティヴ』刊行のほか、年4回協会機関紙『リング』を発行。さらに研究成果の集大成ともいえるワーグナー作品の音楽註・訳註つき対訳本は、23年の歳月をかけ、2013年全作品の対訳が完結いたしました。また、バイロイト祝祭劇場をはじめとする欧米音楽界と密接な情報交換や人的交流を行うなど、民間レベルでの文化交流の架け橋として国際親善にも少なからず寄与しています。
日本ワーグナー協会 公式ホームページ
CONTENTS
■インタビュー──ワーグナー 今年の顔
ダニエル・バレンボイム氏インタビュー(聞き手:舩木篤也/通訳:蔵原順子)
まえがき(杉谷恭一)
■特集──ワーグナーの呪縛
ヴァーグナーとブラームス(森 泰彦)
ニーチェと《トリスタンとイゾルデ》(谷本慎介)
In jener Stunde begann es「あのときに始まった」
──ヒトラーの政治思想に入り込んだワーグナー(鈴木淳子)
[連載『ワーグナースペクトラム』誌掲載論文]
トーマス・マンとリヒャルト・ワーグナー
──クナッパーツブッシュの場合(ハンス・ルードルフ・ヴァーゲット/杉谷恭一訳)
■寄稿
ラン・ジークリンデ・ラン── ある女性の遁走を読み解く三つの試論(山崎太郎)
■エッセイ
ワーグナー受容事始──ケーベルと姉崎正治(東野治之)
私がワーグナーに呪縛された三つの理由(樋口裕一)
■上演批評[バイロイト音楽祭報告 二〇一六]
ラウフェンベルク演出の《パルジファル》
──テロリズムに《パルジファル》は答えうるか(梅津時比古)
[国内ワーグナー上演 二〇一六]
ワーグナー豊饒の年を振り返って(山崎太郎)
■書評
国内ワーグナー文献 二〇一六(江口直光)
海外ワーグナー文献 二〇一五/二〇一六(フランク・ピオンテク/松原良輔訳)
執筆者紹介
■海外ワーグナー上演 二〇一六(曽雌裕一)
日本ワーグナー協会二〇一六年度活動記録