いま、日本で、世界で沸き立つアイルランド音楽!
世界音楽へと進化したそのプロセスと魅力の源泉をダイナミックに描く
◎日本人ミュージシャン8組の演奏を編んだオリジナルCD付き
日本でも若いバンドの活躍がめざましく、独自の音楽シーンが育つなど、21世紀に入り世界各地で活況を呈しているアイルランドの伝統音楽。本国では家庭のキッチ ンやパブでのセッションで培われ、いまや世界音楽へと進化したそのプロセスを、国の歴史、社会や経済の変化とともにダイナミックに描きだします。
バウロン奏者トシバウロンと著者との対談、日本のミュージシャン8組の演奏を本書のために編んだオリジナルCD付き。
(本書は97年刊『アイリッシュ・ミュージックの森』(青弓社)の増補新版です)
◎本書の索引をPDFでご用意しました。本書より少し小さめのサイズで作りましたので、プリントアウトして本に挟んでお使いいただけます(全16ページ)。著者のおおしまさんがとても丁寧に項目を拾って作って下さったものです。どうぞお役立て下さい。
【CD収録ミュージシャンと曲目】
1 O’Jizo〈Cailin na Gruige Donna〜Where Is Jig?〉
2 生梅〈Beer & Piper〉
3 hatao & nami〈A Punch in the Dark〜Barry’s Trip to Paris〉
4 Rinka〈Fanny Power〉
5 John John Festival〈鳥の一生(Mother’s Delight〜The Curlew〜Snot Rocket)〉
6 松阪健・笠村温子・熊本明夫・赤澤淳〈Three Jigs(Gan Ainm〜Ned Coleman’s〜Banish Misfortune)〉
7 奈加靖子〈丘の上にて〜Danny Boy〜〉
8 Modern Irish Project〈Elderly Polka(Elderly Polka〜Black Panda〜Around Table)〉
プロフィール
おおしま・ゆたか
東京生まれ。ヨーロッパの伝統音楽をこよなく愛する翻訳家。著書に『アイルランド音楽 碧の島から世界へ』(アルテスパブリッシング)、訳書に『ギネスの哲学』(英治出版)、『聴いて学ぶアイルランド音楽』『アイルランド音楽 碧の島から世界へ』(以上アルテスパブリッシング)、『アイルランド 社会と文化1922~85年』(国文社)、『アイリッシュハートビート ザ・チーフタンズの軌跡 』(音楽之友社)、『アイリッシュ・ソウルを求めて』(大栄出版)があるほか、K. S. ロビンソン『火星三部作』、A. カーズワイル『驚異の発明家の形見函』(以上東京創元社)、『ラーマーヤナ』(ポプラ社)など多くの小説の翻訳を手がけている。
ブログ http://blog.livedoor.jp/yosoys/
CONTENTS
新版まえがき
第一章 朝の光のなかへ
過去への眼差し
アイルランド文化の複雑なタペストリー
「ロックンロール革命」との共鳴
社会構造を根本から変えた〈大飢饉〉
大西洋を渡った大量の移民
英国からの独立──ゲール文化を支柱に
第二次世界大戦と農村の崩壊
経済改革へ
オ・リアダによる伝統音楽の再創造
クランシー・ブラザーズとナショナリズム
第二章 伝統音楽の再発見
伝統音楽の都市化
社会の方向転換──六〇〜七〇年代
文化革命へ──教育・メディア・芸術家支援
革命前夜
起爆剤としてのクランシー・ブラザーズ
ジョンストンズ
スウィニーズ・メン
スティーライ・スパンとウッズ・バンド
伝統音楽の「ロック化」
プランクシティ
ボシィ・バンド
ムーヴィング・ハーツ
第三章 アイリッシュネスの勃興
アイルランド音楽の独自性
ドロレス・ケーン
デ・ダナン
クラナド
チーフテンズ
世界の舞台へ──U2、エンヤ、ヴァン・モリソン
第四章 北からの風——アルタンの軌跡
アイルランド代表として
アルタン登場時の音楽環境
八〇年代初頭のアイルランド音楽
ドニゴールの独自性
ドニゴールの音楽
アルタンの功績
第五章 グローバルな地平へ
変化の加速
若き才能の台頭
シャロン・シャノン
すぐれた技術と多様性
北アメリカでの反響
ベテラン勢の活動
都市の感性が生んだ「アイリッシュネス」
──メアリ・ブラック、モーラ・オコンネル、ドロレス・ケーン
カギを握る女性たち
総決算としての『リバーダンス』
グローバル・ミュージックへの脱皮——伝統と変容
第六章 伝統音楽の現在──進化と浸透
『タイタニック』と『リバーダンス』
世界音楽への浮上
移民の流入と教会の失墜
ケルト圏での復興と多様化
輝きを放つ複数の物語
危機を生きるアイルランド音楽
あとがき
対談:トシバウロン×おおしまゆたか
人名・用語解説
付録CD曲目解説