「これは村上春樹さんへのファンレターです。」
『1Q84』やエルサレム・スピーチをウチダ先生はどう読んだのか?
ハルキ文学の読み方がもういちど変わる!
本書は2007年に刊行した『村上春樹にご用心』を、『1Q84』論やエルサレム・スピーチ論、柴田元幸との対談など新たなテキストを加えてアップデートした改訂新版です。
2014年12月には文春文庫に入りました。
プロフィール
内田 樹 うちだ・たつる
1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)、思想家、神戸女学院大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒。2011年11月、合気道の道場兼私塾「凱風館」を開設。『寝ながら学べる構造主義』『日本辺境論』『下流志向』をはじめ多くのベストセラーをもつ。 近著に『勇気論』(光文社)、『小田嶋隆と対話する』(イースト・プレス)、『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス)、『凱風館日乗』(河出書房新社)があるほか、『困難な結婚』『もういちど村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『街場の米中論』(東洋経済新報社)など著書・共著多数。
CONTENTS
新版の読者のみなさんへ
はじめに──村上春樹の太古的な物語性について
1 初心者のための村上春樹の「ここが読みどころ」
1 ご飯を作るシーンと掃除をするシーン
2 トラウマとその「総括」
3 海外生活
4 「学生運動」について
5 世界に構造を与える力
6 セックス・シーン
7 司馬遼太郎と村上春樹の「フェアネス」
2 『1Q84』とエルサレム・スピーチを読む
壁と卵──エルサレム・スピーチを読む
1Q84読書中
「父」からの離脱の方位
「子ども」に今できること──『1Q84』BOOK3評
困ったときの老師頼み
3 村上春樹の世界性
「ノーベル賞受賞祝賀予定稿」2009年ヴァージョン
村上春樹と司馬遼太郎
「父」の不在
霊的な配電盤について
『冬のソナタ』と『羊をめぐる冒険』の説話論的構造
食欲をそそる批評
激しく欠けているものについて
【特別対談】柴田元幸×内田樹『村上春樹はからだで読む』
4 翻訳家・村上春樹の翻訳を語る
「翻訳=写経」論
村上春樹の翻訳作法
村上文学が世界性を獲得した理由
奇跡のタッグ
趣味は翻訳
すぐれた物語は身体に効く
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読む
「君」とはホールデン自身である
極東のアヴァター~『羊をめぐる冒険』と『ロング・グッドバイ』
5 うなぎと倍音
うなぎくん、小説を救う
太宰治と村上春樹
倍音的エクリチュール
100パーセントの女の子とウェーバー的直感について
6 雪かきくん、世界を救う
村上春樹の「労働哲学」
村上文学における「朝ご飯」の物語論的機能
お掃除するキャッチャー
After dark till dawn
村上春樹とハードボイルド・イーヴル・ランド
[コラム]
「手持ちの資源でやりくりする」こと~『走ることについて語るときに僕の語ること』評
三〇~四〇代の女性に薦める一作『神の子どもたちはみな踊る』
『ペット・サウンズ』の思い出
アーバンとピンボールの話
旧版のあとがき
新版のあとがき