魅惑のオペラ歌手50
歌声のカタログ

定価:本体1900円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・並製 | 240頁
  • 発売日 : 2023年4月28日
  • ISBN 978-4-86559-273-3 C1073
  • ジャンル : クラシック/オペラ/歌手
  • 装丁:岩瀬 聡

パヴァロッティからシャビエル・アンドゥアガ、
ミレッラ・フレーニからマリーナ・モンゾまで──
極限まで〈声〉を鍛えあげたアスリートたちの至芸を愉しむ!

脇園彩さん(オペラ歌手)推薦!

深いオペラ愛と驚異的な鑑賞経験に裏付けられたオペラファン必携の一冊!

コロラトゥーラ・ソプラノ、
バッソ・ブッフォ、
テノーレ・ディ・グラーツィア、
ドランマティコ・ダジリタ、
リリコ・スピント、
リリコ・レッジェーロ……

百花繚乱の〈声〉を知れば、オペラの神髄がわかる!

……歌手のトップ・アスリートも、
スポーツのトップ・アスリートに負けず劣らず、
その美技で人を酔わせる。
時に魂を震わせ、感涙を強いる。
そのことを伝えるのが本書の最大の目的である。
──「はじめに」より

オペラ評論家のなかでも、とくに歌手の声質に着目した分析に定評のある著者が、
パヴァロッティからシャビエル・アンドゥアガ、ミレッラ・フレーニからマリーナ・モンゾまで、
50人のオペラ歌手の〈声〉を論じたユニークなガイド本。

ためし読みはこちらから▼
https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784865592733

プロフィール

  • 香原斗志(かはら・とし)
    オペラ評論家、音楽評論家。神奈川県生まれ、早稲田大学卒業。専攻は歴史学。オペラを中心にクラシック音楽全般について、さまざまな媒体に執筆。歌唱の正確な分析に定評がある。著書に『イタリア・オペラを疑え!』(アルテスパブリッシング)など。歴史評論家の顔ももち、近著に『カラー版 東京で見つける江戸』『教養としての日本の城』(共に平凡社新書)がある。

CONTENTS

 はじめに

ルチャーノ・パヴァロッティ──輝く歌声を支えた盤石のテクニック。世界一の成功には理由がある

ミレッラ・フレーニ──成熟しても失われなかった正統的な発声による清らかな声

レナート・ブルゾン──立ち姿そのままのノーブルな声と歌唱。ヴェルディの精神を具現化したバリトン

プラシド・ドミンゴ──八十歳でも毎月舞台で主役。休息を要求しない驚異の声帯

レオ・ヌッチ──現役最高のヴェルディ・バリトン。その呼び声を七十代でも維持した奇跡

ホセ・カレーラス──白血病を克服した甘い声と魂の叫び。記録より記憶に残るテノール

マリエッラ・デヴィーア──隙がなくコントロールされた高貴な声。完璧を体現した理想の歌唱

アレッサンドロ・コルベッリ──上質の滑稽味をかもし出すブッフォの神様の至芸

アントニーノ・シラグーザ──五十代後半で声力は最高潮。進化が止まらないベルカント・テノール

ミケーレ・ペルトゥージ──どんな悪役を歌ってもカッコいい、美しいフォームとノーブルな低声

ナタリー・デセイ──自然な発声、透明な声、超高音と女優なみの表現力の両立

チェチーリア・バルトリ──ロッシーニとバロックの復興を先導した天才的なお手本

バルバラ・フリットリ──輝かしい倍音、無限のニュアンス。旋律に生命を宿す不世出のソプラノ

ロベルト・デ・カンディア──見た目と違ってエレガントなベルカント。ヴェルディにお手本の歌唱

ジョイス・ディドナート──よみがえったベルカント時代の歌唱を理想的に体現できる理由

イルデブランド・ダルカンジェロ──どんな表現もスタイリッシュに構築する、けっしてぶれない高貴な響き

アンナ・ネトレプコ──舞台上のオーラが半端でない、濃密な声を自在に操る稀代のディーヴァ

ローレンス・ブラウンリー──ヨーロッパ系歌手には見られない身体能力で、アジリタも超高音もレガートも

フアン・ディエゴ・フローレス──オペラのルネサンスの立役者となった、百年に一人のテノール

ルカ・サルシ──偉大な系譜に名乗りを上げる、スカラ座のプリモ・バリトン

ハビエル・カマレナ──ベルカント・オペラに生命を吹き込む、力強いアジリタと余裕の超高音

エリーナ・ガランチャ──ハングリー精神で身に着けた、まろやかに響く完璧な表現

イルダル・アブドラザコフ──ベルカント・オペラで培った、強く豊かエレガントな低声

ヴィットリオ・グリゴーロ──伊仏のスタイルを自在に行き来し、役に生命を注ぐテノールのカリスマ

フランチェスコ・デムーロ──明るい声と天を衝く高音で世界を席捲するザ・テノール

マリア・アグレスタ──磨き抜かれた声、力強さ、柔軟な装飾。すべてがバランスされたディーヴァ

ニコラ・アライモ──ベルカントを究めたから表現できる、ほんとうのヴェルディ

マイケル・スパイアーズ──三オクターブの音域で重厚な声を輝かせる、現代のバリテノーレ

マリーナ・レベカ──《ノルマ》も初期ヴェルディも。他を寄せつけない精緻で官能的な歌

フランチェスコ・メーリ──スカラ座が「ヴェルディなら彼」と推す、ベルカントで培った高貴な歌唱

サイミール・ピルグ──王道レパートリーに今日的洗練を加える、輝かしく官能的な声

マキシム・ミロノフ──優美で知的でキレがいい、類まれなテノーレ・ディ・グラーツィア

ソニア・ヨンチェヴァ──豊かな声によるスケールの大きな歌唱と、心に染み入る抒情性が両立

イザベル・レナード──薫り高い声による正統的歌唱と、加わる多彩なニュアンス

エレオノーラ・ブラット──声を意のままにあやつる、待ち望まれた「正統派」ソプラノ

サイオア・エルナンデス──久しぶりに現れたリリコ・スピント、またはドランマティコの大器

リセット・オロペサ──飛ぶ鳥を落とす勢いのスターは、カメレオンのように変幻自在

ルネ・バルベラ──超高音、鮮やかな装飾、なめらかな歌唱。いまや理想的ベルカント歌手

プリティ・イェンデ──バネのある声で磨かれた歌を聴かせる、ソプラノの一流アスリート

ルカ・ミケレッティ──声で演技できる俳優出身のバリトン。ヴェルディ歌いの大器になる予感

大西宇宙──アメリカで多様性を修得した、日本人男声のホープ

ローザ・フェオラ──スカラ座のプリマドンナの彫りの深い高貴な声と圧倒的音楽性

ダヴィデ・ルチャーノ──押し出しが強いのに美しい。スターダムにのし上がるバリトンの大器

ステファン・ポップ──パヴァロッティに近いテクニックで、パヴァロッティに近い表現力

脇園彩──これほど聴くたびに進化が見られる歌手は滅多にいない

ネイディーン・シエラ──聴き手を幸福にするニュアンスと色彩。時代を代表する抒情的歌唱

ズザンナ・マルコヴァ──スーパーモデルのような美貌。見た目どおりの高貴な響きと理想的陰影

アナスタシア・バルトリ──初期ヴェルディを理想的に歌う、ドランマティコ・ダジリタの若き逸材

マリーナ・モンゾ──耳に快楽をもたらす自然な響き。若くして完成した近未来のスター

シャビエル・アンドゥアガ──二十代半ばで国際的スターの仲間入り。どこまで伸びるかわからない逸材

 おわりに

 楽曲名索引
 人名索引