通算12刷、超ロングセラーが新装版で登場!
編集とは「企画を立て、人を集め、モノをつくる」ことであり、
「言葉、イメージ、デザイン」を駆使したアンサンブルである──
だれもが自分の人生を編集する時代を楽しむために、
古今東西の原理原則を解き明かした編集のレシピ集。
本書まえがきより──
みなさんが手にする本や雑誌、カタログ、パンフレット、フライヤー、そして日頃見ている数多くのウェブサイト、携帯サイト、電子書籍などのデジタル・コンテンツ──これらはすべて「編集」という行為を通してみなさんに届けられています。メディア上で、文章、写真、絵、そしてデザインなどを、見たり、読んだりするものすべてに編集が関わっています。それは紙媒体だけには限りません。次から次へと新しいメディアが誕生するにつれ、編集という領域は広がっています。
では編集とは何なのでしょう? 人生の半分以上を編集という仕事に費やしている僕も、この問いにはいまだにうまく答えられずにいます。
それは「音楽って何?」「芸術って何?」という問いかけに、それに一生を費やして追求している人たちが実はうまく答えられないのと似ているかもしれません。
しかし、あまりに曖昧模糊としたままでは仕事に差しさわりますから、僕は「編集」を次のように定義しています。
「企画を立て、人を集め、モノをつくる」こと。
この三つが揃っていれば、メディアを問わずその行為は編集なのだ、と僕は勝手に捉えています。
では映画や広告も編集なの? と疑問に思う人もいるでしょう。はい、それらも編集のひとつだと僕は考えています。映画監督は映像に特化した編集者であり、広告のクリエイティヴ・ディレクターは、広告に特化した編集者と言えるのではないかと。
この本はその広大と思われる編集の世界のすべてを語るものではありません。この本はあくまで入門書。
編集の仕事を志す若い人たちに向けて、日常に溢れていながらもあまり語られることのなかった編集の世界とその手法の魅力を解き明かそうと意図したものです。
プロフィール
菅付雅信(すがつけ・まさのぶ)
編集者/株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役。1964年生。法政大学経済学部中退。角川書店『月刊カドカワ』、ロッキング・オン『カット』、UPU『エスクァイア日本版』編集部を経て独立。『コンポジット』『インビテーション』『エココロ』の編集長を務め、出版物の編集から、内外のクライアントのプランニングやコンサルティングまでを手掛ける。著書に『東京の編集』『中身化する社会』『物欲なき世界』、対談集『これからの教養』等がある。またアートブック出版社ユナイテッドヴァガボンズの代表も務める。『コマーシャル・フォト』『WIRED JAPAN』WEBで連載中。下北沢の本屋B&Bで「編集スパルタ塾」を主宰。NYADC銀賞受賞。
CONTENTS
はじめに 人生を編集する時代を楽しむために
第1章 高速編集史
第2章 企画は企画を感じさせないこと
第3章 言葉は人びとを振り向かせる
第4章 イメージはアーカイヴから生まれる
第5章 デザインの形式こそがメッセージである
第6章 編集は拡大する
補講:ところで「美しい」とは何?
あとがき
参考文献