細川俊夫 音楽を語る
静寂と音響、影と光

定価:本体3800円[税別]送料:国内無料

  • A5判・上製(仮フランス装) | 376頁
  • 発売日 : 2016年12月12日
  • ISBN 978-4-86559-154-5 C1073
  • ジャンル : クラシック/現代音楽/作曲家
  • ブックデザイン:寺井恵司

現代日本を代表する作曲家、細川俊夫が
自身の創造と思索の軌跡を語った「対話による自伝」。

「もしかすると作曲するとは、
 響きの強度だけでなく、
 沈黙の強度をも深めるような
 一つの行為を成し遂げることかもしれません」
 ──細川俊夫

武満徹以後もっとも重要な日本人作曲家として国際的に評価され、
欧米の主要オーケストラ、音楽祭、オペラ劇場などから次々と委嘱を受ける細川俊夫が、
その半生、作品、音楽、宗教、自然について縦横に語った初めての書。
年譜、作品目録、ディスコグラフィのほか作品スコア、写真多数掲載。

プロフィール

  • 細川俊夫(ほそかわ・としお)
    1955年、広島に生まれる。1976年にドイツへ留学。ベルリン芸術大学でユン・イサン尹伊桑に、フライブルク音楽大学でクラウス・フーバーに作曲を師事。1980年、ダルムシュタット国際現代音楽夏期講習会で作品を発表して以来、ヨーロッパと日本を中心に作曲活動を展開。日本を代表する作曲家として、欧米の主要なオーケストラ、音楽祭、オペラ劇場などから次々と委嘱を受け、国際的に高い評価を得ている。とくに、平田オリザの原作と演出により2016年1月にハンブルク州立歌劇場で初演されたオペラ《海、静かな海》は、大きな注目を集めた。旺盛な作曲活動のかたわら、現代音楽の紹介と若い作曲家の育成にも力を注いでおり、1989年から10年にわたり秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティヴァルを主宰した後、2003年からは武生国際音楽祭の音楽監督、2007年からは現代音楽の演奏会シリーズHiroshima Happy New Earの音楽監督を務めている。著書に『魂のランドスケープ』(岩波書店)がある。東京交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、西ドイツ放送局合唱団、ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを歴任。ベルリンおよびバイエルンの芸術アカデミー会員。2006/2007年と2008/2009年に、ベルリン高等研究所にフェロー(特別研究員)として招待された。2012年、紫綬褒章受章。現在、東京音楽大学およびエリザベト音楽大学客員教授。

  • ヴァルター゠ヴォルフガング・シュパーラー (Walter-Wolfgang Sparrer)
    1953年、ドイツのマインツに生まれる。ベルリンにて、カール・ダールハウスの下で音楽学を修めた後、尹伊桑のアシスタントを務めながら彼の作品を研究。論文集『作曲家尹伊桑』(Der Komponist Isang Yun, edition text + kritik)の共同編集にも携わった。尹の没後、1996年に国際尹伊桑協会(Internationale Isang Yun Gesellschaft e.V.)をベルリンに設立。尹の作品のCDシリーズや尹研究の年報を刊行し、彼の作品を紹介する演奏会などを企画している。尹伊桑や細川俊夫の音楽をはじめ、現代音楽に関する数多くの論文がある。

  • 柿木伸之(かきぎ・のぶゆき)
    1970年、鹿児島市に生まれる。上智大学文学部哲学科助手を経て、現在広島市立大学国際学部准教授。専門分野は20世紀ドイツの哲学および美学。著書に『ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史』(平凡社)、『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ──ヒロシマを想起する思考』(インパクト出版会)などがある。共訳書は、T.W.アドルノ『自律への教育』(中央公論新社)など。音楽関係の著述もあり、ひろしまオペラ・音楽推進委員会主催公演の作品解説などを執筆している。

CONTENTS

第一章 広島
第二章 東京、一九七一年
第三章 ベルリン
第四章 フライブルク
第五章 東京、一九八五年──種子(シーズ)
第六章 歌
第七章 秋吉台−武生
第八章 旅(ヴォヤージュ)──ドイツ−日本
第九章 庭−花
第一〇章 風−波−海(オーシャン)−雲
第一一章 レクイエム
第一二章 雲と光
第一三章 ムジークテアーター
第一四章 東京−ベルリン
第一五章 誕生
細川俊夫「大地の深みより──音楽と自然──」
A・ラッヘンマンによるインタヴュー「不安は大きいのです……──地震、津波、そして原子力発電所事故──」