「ヴァーグナーの中にはたくさん『ヒトラー』が存在する」
──トーマス・マン
ヴァーグナーの著作や作品に色濃く流れる反ユダヤ観は、ヒトラーの思想形成に多大な影響を与えた。
ナチスの聖典であり、現在もドイツ国内では出版が禁止されているヒトラーの著作『わが闘争』の原文とヴァーグナーの主張を比較考証し、その関係を明らかにする。
ヴァーグナー芸術の暗部を白日の下にさらした前著『ヴァーグナーと反ユダヤ主義──「未来の芸術作品」と19世紀後半のドイツ精神』の続編。
注記や図版資料も充実! 第二次世界大戦終結70年記念出版。
プロフィール
鈴木淳子(すずき・じゅんこ)
1966年福岡県生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化研究室)博士課程修了。学術博士。現在、法政大学および関東学院大学でドイツ語非常勤講師を務める。
主著に、『ヴァーグナーと反ユダヤ主義──「未来の芸術作品」と19世紀後半のドイツ精神』(アルテスパブリッシング)、訳書に『ヴァーグナー大事典』(共訳、平凡社)などがある。
CONTENTS
はじめに
第1章 ヴァーグナーの反ユダヤ観形成に至るまで
第2章 ヴァーグナーの反ユダヤ思想とナチズム
「音楽におけるユダヤ性」と『わが闘争』
ヴァーグナーの「再生論」と『わが闘争』
第3章 キリスト教の信仰にひそむ排他性と反ユダヤ主義
第4章 ヴァーグナーとヒトラーの反ユダヤ主義的態度における類似性
第5章 ヒトラーにとってのヴァーグナー
結び
注
図版資料
1. 本論および注の中に出てくる図版に関連して
2. ヴァーグナーの反ユダヤ論文出版に関連して
3. バイロイト・サークルの活動に関連して
4. ヒトラーとヴァーグナー家の人々とのつながりに関連して
5. ユダヤ人による「儀式殺人」に関連して
6. 反ユダヤ主義的モティーフに関連して
7. ナチスに関連して
あとがき
主要参考文献
人名索引
事項索引
図版出典