【新刊】『柴田南雄 音楽会の手帖』

アルテスは12/12(月)発売の『細川俊夫 音楽を語る』に続き、12/23(金・祝)には『柴田南雄 音楽会の手帖』を発売します。生誕100年・没後20年の「柴田南雄イヤー」の掉尾を飾る本書は、宇宙的なスケールの作品で知られる作曲家・柴田南雄が、1972〜82年の約10年にわたって朝日新聞紙上で展開した演奏会評を一書に集成したもの。カラヤン、ベーム、バーンスタインが次々に来日し、前衛音楽が実験的精神を迸らせていた日本クラシック界全盛期の音風景が活写され、クラシック・ファンにとってはたまらない1冊。巻末には音楽評論家で早稲田大学教授の小沼純一さんによる解説を掲載しています。

同書の中から、柴田の批評家としての個性・矜持を示す文章を、下記にいくつか抜書きしてみましょう。

聴き巧者が育たないこと、そこにも日本のオーケストラ運動の大きな問題点がある。

──1972/9/12 東京交響楽団

そのポーズは独特で、それは従来この種の古楽器演奏の周辺に立ちこめていた一種の事大主義を吹き払うに充分である。

──1973/2/21 ブリュッヘン

演奏者たちによって音になった瞬間にはじめて音楽そのものが生まれる、という印象が強いのだ。いわば作曲と演奏は一如であった。

──1974/11/17 武満徹フェスティバル

こうした真の完成品に接すると、日ごろわれわれが暮らしている音楽の世界を超えた、ヨーロッパ文化そのものと相対している、という実感を味わう。

──1975/3/16 ベーム指揮ウィーン・フィル

まるで他の指揮者たちはすべて間違っている、といわぬばかりのボリュームとテンポである。

──1980/4/17 チェリビダッケ指揮ロンドン交響楽団

東京の聴衆は東京のいくつもあるオケから常日ごろ、こんなに熱いサービスを受けているだろうか。

──1981/7/28 大阪フィルハーモニー交響楽団

発売をお楽しみに!