『日本病跡学雑誌』に『梨の形をした30の言葉』の書評が掲載

日本病跡学会の機関誌『日本病跡学雑誌』104号に椎名亮輔著『梨の形をした30の言葉──エリック・サティ箴言集』の書評が掲載されました。

評者は『音楽と病のポリフォニー──大作曲家の健康生成論』(小社刊)の著者でもある精神科医で自治医科大学教授の小林聡幸さん。

評者は病跡研究を行うとき、当該人物がまるで知り合いであるかのようにイメージできるまで資料に当たれた時に、論文が書ける気がしてくるのだが、本書はまさにその域に到達している。しかも当時の社会とともにサティが蘇ってくるかのようだ。などというのも、もう何十年も前だが、教室の先輩がサティの病跡の発表をしたものの、論文化されないままで、気になっていたのだが、確か発表ではサティを分裂気質(統合失調気質)ととらえていたかと思う。しかしながら本書を読むと彼は極めて神経症的な人だと思う。そんな面倒臭い人だが、不思議とみなに愛された。六人組のグルに祭り上げられながら、結構、六人組を冷淡に切り捨てていたサティだが、その六人組のひとり、ミヨーは最後までサティの面倒をみたという。サティに向ける著者の視線にも温かな愛情がこもっている。

と、小林さんならではの病跡学的見地からのユニークな書評です。一般書店では取り扱いがないようですが、以下のページに入手方法が記載されています。

 日本病跡学雑誌
 https://square.umin.ac.jp/~pathog/pathography/journal.html