『みすず』1・2月合併号(続報)

音盤考現学

既報につづき──。p.10-11に掲載された川那部浩哉さん(生態学)が『音盤博物誌』を選んでくださっていました。

 片山杜秀さんの『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング)は、先著『音盤考現学』をさらに越えている。武満徹・黛敏郎ご両人を大和的原型と奈良的原型に対比したり、「訛る」「訛らない」の演奏にグローバリズムを見出したり、一九三〇年代生まれの「上手に年をとりにくい」世代の岩城裕之さんの円熟は肉体の老化に由来する優れものと論じたり(私もじつは同世代)、意表をつきながら多いに考えさせられ、かつ改めて聴く気を勃然と起させる。

たしかに『博物誌』は、『考現学』で確立された“芸風”がさらに進化し、自在の境地で遊ぶ片山さんの筆致もまた味わいどころ。それにしても、いろんな分野の方が読んでくださって、うれしいかぎりです。

[木村]