真の成功とは、他者の人生にシュプールを残すこと──
世界的マエストロが、10人との出会いを振り返り、
自己形成の歩みを語る初のエッセイ!
サラ・コールドウェル(指揮者)=謙虚さ
レナード・バーンスタイン(指揮者、作曲家)=疑問をもつこと
フランク・ザッパ(ロック・ミュージシャン)=真正性
ピエール・ブーレーズ(作曲家、指揮者)=作曲家はどう理解されたいのか
ビョーク(ミュージシャン)=偶然を真剣に受けとめること
アルフレート・ブレンデル(ピアニスト)=周囲に惑わされない波長の長さ
日系3世の世界的指揮者ケント・ナガノが半生を振り返り、自己確立や芸術的成長、キャリア形成を決定づけた10人の傑物との出会いと交流をつづる。
個性あふれる人物たちの素顔が生き生きと描かれ、芸術と人生との深遠なかかわりが浮かびあがる傑作エッセイ。
バーンスタインの疑問は、具体的にどちらの音かということではない。疑問をもつのをやめるとか、状況について自問しなくなったとき──つまり、最終的な答えを得たと思い込み、現状に満足するときが来たら、演奏をやめるべきだということ。芸術には最終的、あるいは決定的な知識のための余地はない。音楽では、疑問点や謎についてあらたな解答を探しつづけるということ。あのときのレッスンの意味は、それに気づくことにあった。人生にもやはり、答えをなんどでもあらたに探すべき疑問がある。
──「lesson 2|レナード・バーンスタイン」より
日本語版のための書き下ろし「ふたつの世界」を収録。
2027年5月、NHK交響楽団定期公演に来演決定!
プロフィール
ケント・ナガノ(Kent Nagano)
1951年米カリフォルニア州バークリーに生まれ、モロ・ベイに育つ。カリフォルニア大学サンタクルーズ校、サンフランシスコ州立大学で社会学・法学を専攻するかたわら作曲を学ぶ。
オペラ・カンパニー・オブ・ボストンでサラ・コールドウェルの助手をつとめたのち、1978年バークリー交響楽団の音楽監督(2006年より首席客演指揮者)に就任し28年にわたり率いるかたわら、ハレ管弦楽団、リヨン国立オペラ、ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者や音楽監督、芸術監督をつとめる。1983年メシアンのオペラ《アッシジの聖フランチェスコ》初演にあたり、作曲者本人の指名で小澤征爾のアシスタントをつとめ、後任の指揮者に抜擢。2006年よりモントリオール交響楽団およびバイエルン国立歌劇場の音楽監督、2013年エーテボリ交響楽団首席客演指揮者兼芸術顧問。2015年からはハンブルク州立歌劇場とハンブルク・フィルハーモニカーの音楽総監督を歴任。2026 年9月よりスペイン国立管弦楽団の主席指揮者兼音楽監督に就任する。日本政府より2008年に旭日小綬章、2025年には旭日中綬章を受章。
著書にErwarten Sie Wunder!: Expect the Unexpected(インゲ・クレプファーとの共著、Berlin Verlag, 2014)がある。
妻はピアニストの児玉麻里、娘はピアニスト、建築士のカリン・ケイ・ナガノ。インゲ・クレプファー(Inge Kloepfer)
1964年生まれ。ボン大学で日本学・中国学を学び、国立台湾師範大学留学をへて、ミュンヘンで経済学を修了。1992年に『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙経済部に入り、金融政策や金融市場、大手銀行を取材したのち、同紙日曜版のベルリン特派員として活動。現在はフリーのジャーナリスト・作家として執筆を続ける。フリーデ・シュプリンガーの評伝で「年間最優秀経済ジャーナリスト賞」を受賞。ケント・ナガノとは本書のほか彼の自伝Erwarten Sie Wunder!(Berlin Verlag, 2014)を共同執筆。その他モーツァルト関連書など著書多数。近年は映画監督としても活動し、ケント・ナガノのドキュメンタリー映画のほか経済・原発問題を扱った作品で評価されている。シドラ房子(Fusako Sidler)
新潟県生まれ。武蔵野音楽大学器楽科卒業。翻訳技術をフェロー・アカデミーで習得。
翻訳家・音楽家。
レオ・マルティン著『心に入り込む技術』『心を見透かす技術』、クリスティアン・ガンシュ著『オーケストラ・モデル』(以上阪急コミュニケーションズ刊)、ベルトラン・ピカール著『空の軌跡』(小学館刊)、マデレーン・ベーメ著『ドナウ川の類人猿』(青土社)など訳書多数。
アルプホルン奏者リザ・シュトルと定期的にコンサートをおこなうほか、フルーティスト、パンフルーティストとして教会行事や各種イヴェントで民俗音楽を中心に演奏活動をしている。
CONTENTS
プロローグ
lesson 1 サラ・コールドウェル
lesson 2 レナード・バーンスタイン
lesson 3 フランク・ザッパ
lesson 4 イヴォンヌ・ロリオ
lesson 5 ピエール・ブーレーズ
lesson 6 ジャン゠ピエール・ブロスマン
lesson 7 ビョーク
lesson 8 リヒャルト・トリムボーン
lesson 9 アルフレート・ブレンデル
lesson 10 ドナルド・アーサー・グレイザー
ふたつの世界──エピローグ
訳者あとがき
