編曲の世界
クラシック音楽〈受容史〉再考

定価:本体2700円[税別]送料:国内無料

  • A5判・並製 | 216頁
  • 発売日 : 2026年2月25日予定
  • ISBN 978-4-86559-324-2 C1073
  • ジャンル : クラシック/音楽史/音楽研究
  • 装丁:福田和雄(FUKUDA DESIGN)

編曲だってクリエイティヴ!
クラシックからミュージカルまで、
音楽史を動かしてきた編曲の力にせまる!

大作曲家が書いた名作が世界中に広まったのは「編曲」のおかげだった!?

「オリジナル(原典)」にたいして副次的な価値しかもたないように思われがちな「編曲」が音楽史の中で果たしてきた役割、さまざまな編曲の手法、楽譜市場における編曲の重要性、ベートーヴェンほか作曲家による自作の創造的編曲などなど、編曲の諸相を明らかにし、クラシック音楽の歴史を動かしてきた編曲の力にせまる!

著者はベートーヴェンや室内楽の研究で知られる若手音楽学者。

全日本ピアノ指導者協会(PTNA)ホームページでの人気連載の単行本化。

プロフィール

  • 丸山瑶子(まるやま・ようこ)
    慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了、ウィーン大学より博士号取得(Doktorin der Philosophie)。日本ベートーヴェン・クライス理事。国内大学にて教鞭をとる。主たる研究分野はベートーヴェンと同時代の作曲家との様式上の関連性、18世紀末~19世紀初頭の室内楽書法および編曲。直近ではミュージカルの楽曲研究や楽譜校訂にも従事。翻訳に『ウィーン原典版 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ集』全3巻(音楽之友社)、T.デノーラ『つくられた天才 ベートーヴェンの才能をめぐる社会学』(春秋社)、執筆協力に茂木大輔『名曲の曲名』(音楽之友社)がある。

CONTENTS

第1部 編曲の諸相

第1章 現代の編曲、歴史の中の編曲

意外と身近な「編曲」
あなたの「編曲」に対する意見はポジティブ? それともネガティブ?
オリジナルv.s.編曲──編曲はなぜ「低く」見られることがある(あった)のか
こんにち「編曲」に注目する理由

第2章 編曲の定義とは?──18世紀から19世紀の「編曲」の種類、意義

きわめて広い「編曲」の定義
「編曲」が持つさまざまな意義
編曲=「大編成」から「小編成」?──“手軽に演奏できるように”縮小するだけが編曲じゃない!
ピアノ独奏曲を拡大!──18世紀末から19世紀初頭の編曲
ベートーヴェンのピアノ曲の「拡大編曲」
「編曲」をとおして、さまざまな響きの可能性を
一部の楽器のみを入れ替え──編曲による演奏レパートリーの拡大
編曲と新たな創意の発露
オリジナルに新鮮さをまとわせる編曲あれこれ
「改作」もBearbeitungのうち
編曲と作品番号──編曲も独立した「作品」たりえた
巨匠に匹敵する巧みさと創造力
楽曲のリサイクル?──「転用」と「改作」

第3章 「変奏曲」の「編曲」性

「編曲」と「オリジナル」の境界
「編曲」概念の射程
当時の人々にとっての「編曲」と「オリジナル」
「オリジナル」はただ一つか
「作品」の認識──受容者の認識が「作品」を生み出す?

第4章 編曲と作品の受容・普及・出版利益

楽譜市場にあふれる編曲
編曲が経済を回す
早く編曲を作らないと、儲けがとられてしまう⁉
編曲から見るヒット・チャート?
「売れる」作品を編曲で出版する
編曲出版の数から人気がわかる?
編曲から見るパブリック・ニーズ
編曲シリーズ──出版社のマーケティング戦略
シリーズ出版、その意図は
一つで複数の編成のための編曲を──フンメルの編曲シリーズ

◉[コラム]「編曲」との関わり方

第2部 編曲の音楽内容、その意義

第5章 さまざまな編曲手法

ケース1:職人業的?──フンメルによる交響曲の編曲シリーズ
フンメルによる交響曲のピアノ編曲
編曲者の楽曲解釈? 当時の演奏習慣?
ピアノはどこまでオーケストラに近づけるか?
フンメルのピアノ編曲から何を読み取る?
ピアノ・ソロからピアノ四重奏へ
原曲の姿を浮き彫りに?
編曲者の解釈?
オリジナルに“忠実”な中にある“独創性”
ケース2:「そのジャンルらしく」──拡大編曲を例に
ピアノ三重奏曲ではなく弦楽五重奏曲を──編曲者カウフマン
編曲者ベートーヴェン
編曲に求める「そのジャンルらしさ」

◉[コラム]編曲は「編曲」と思われていなかったかもしれない?

ケース3:創造的編曲
ベートーヴェンの自作編曲
調の変更──「まったく異なる楽器」のために……から始まって、曲の性格も変える?
テンポと発想標語の変更──弦楽器とクラヴィーアはまったく別の楽器
創造性と様式変化
ベートーヴェンの個性
「真の4声体」を
作曲家の様式変化
作品の「再考」

◉[コラム]オマージュとしての編曲

第6章 鍵盤楽器のための編曲の多様性と特異性

鍵盤楽器のための編曲の用途
個人で楽しむ鍵盤楽器用編曲
「より本物らしく」⑴──鍵盤楽器のための編曲をオリジナルに近づけて
「より本物らしく」⑵──鍵盤楽器のための編曲を通した作品理解
目的に合わせたピアノ編曲──ブラームスの場合
ブラームスのピアノ編曲──弦楽六重奏曲
オリジナルに縛られない編曲
オクターヴをどう使う?
ペダル
実践のために編曲を

◉[コラム]編曲は誰のもの

第7章 現代も盛んな編曲──特定の様式を超えて

歴史の中の即興、こんにちのアレンジ
アレンジと創造性
「クラシック」とは?
そもそもいわゆる「クラシック」の範囲は?

終章 歴史の中の編曲、これからの編曲

用途・機能の多様性
編曲手法の多様性
編曲と創造性
編曲は「作品」か
すぐそこにある編曲、これからの編曲

あとがき

参考文献
楽譜の典拠
URL一覧