〈片山杜秀の本〉 2

音盤博物誌

定価:本体1900円[税別]送料:国内無料

  • 四六・並製 | 328頁
  • Release Date : 2008年5月24日予定
  • ISBN 978-4-903951-07-2 C1073
  • Genre : クラシック/CDガイド
  • ブックデザイン:下川雅敏

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第30回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)、第18回吉田秀和賞をダブル受賞!
21世紀の真の音楽批評がここにある! 大好評の『音盤考現学』に続く第2弾!
『レコード芸術』の人気連載、堂々の完結篇!

吉田秀和氏も激賞した前作『片山杜秀の本1 音盤考現学』に続く第2弾。
シューベルトを近眼派音楽の夜明けと断じ、金満的ヴィブラートの淵源はクライスラーにありと喝破、信時潔から坂本龍一に至る隠された楽統を暴き出し、ショスタコと恋愛映画の意外な親和性を解明する──
音盤の博物学者・片山杜秀が渡り歩いた傑作・問題作。『レコード芸術』誌の人気連載「傑作!? 問題作!?」の後半50本を完全収録!

岡田暁生さん推薦!

「僕なんか逆立ちしてもかなわない人」──私は片山さんを誰かに紹介するとき、いつもこう言うことにしている。
片山さんは異形の文体の持ち主だ。こんなにも凄まじい凝集力をもつ文章には滅多に出会えない。 ひとつひとつの単語がまるでウェーベルンの音符のように、読者の脳髄の中で次々爆発する。しかもこんな核分裂みたいなセンテンスが、ロッシーニのテンポで機銃掃射されるのだ。そして彼が書いたものを読み終わると ──いつだって音楽が、思想が、社会が、時代が、それ以前とはぜんぜん違って見えてくる。
かつて福田恒存は吉田秀和のことを「真の音楽批評家の名に値する日本で唯一の人」と呼んだが、僕にとって片山さんは「真に21世紀の音楽批評家の名に値する唯一の人」である。
──岡田暁生(京都大学准教授、中公新書版『西洋音楽史』著者)

Profile

  • 片山杜秀(かたやま・もりひで)
    1963年宮城県生まれ。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専攻は近代政治思想史、政治文化論。
    2008年『音盤考現学』『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング)により吉田秀和賞とサントリー学芸賞を受賞、2012年『未完のファシズム』(新潮選書)により司馬遼太郎賞を受賞。その他の著書に『クラシック迷宮図書館(正・続)』『線量計と機関銃』『現代政治と現代音楽』『大東亜共栄圏とTPP』(以上アルテスパブリッシング)、『鬼子の歌』『近代日本の右翼思想』(以上講談社)、『未完のファシズム』(新潮社、司馬遼太郎賞)ほか多数。
    NHK‒FM『クラシックの迷宮』のパーソナリティとしても活躍。

CONTENTS

1 小指の思い出
2 踊れ、ベートーヴェン!
3 留学生はかく悟れり
4 愛国のかたち
5 生産しない女
6 偉そうなチェロ
7 入野義朗という難関
8 バレンボイムの複数の故郷
9 ラッヘンマンの疎外とさび
10 ドシラとゴジラ
11 主よ御許に近づかん
12 答えのある質問
13 大和的原型と奈良的原型
14 グルジェフ式ラジオ修繕法
15 近衞秀麿と「日本的近代」
16 博徒ブーレーズ?
17 吸血鬼とオバQと一柳慧
18 エジプトの王女と日本の王子
19 シュトックハウゼンの世界新秩序
20 細腕のトスカニーニ
21 もうひとりの「音階の音楽家」
22 「代用の帝国」の逆襲
23 ドビュッシーの前にひざまずくヒンデミット
24 夕鶴のように飛んでいけなかった令嬢の話
25 極私的追悼・伊福部昭
26 翁になったフルネ
27 孤独に耐えられぬ者は哀れである
28 もうひとつの涅槃交響曲
29 ショスタコーヴィチと日本の恋愛
30 フランク沈没
31 ご先祖様はモーツァルト?
32 火フォイアマン男、がんばる
33 尊子と春子と長唄と
34 岩城宏之の逆襲
35 アメリカの田舎者とオーストリアの田舎者
36 齋藤高順と小津安二郎
37 多重人格者エッシェンバッハ
38 能とソヴィエト
39 R・シュトラウスはハリウッドに行ったか?
40 信時楽派が存在する(上)
41 信時楽派が存在する(中)
42 信時楽派が存在する(下)
43 松村禎三追悼──結核とエロス
44 ボリバル主義とオーケストラ
45 ポスト・ポスト・モダン時代のベートーヴェン
46 「近眼派」音楽序説
47 アジアには愛が溢れていると岡倉天心は云ったけれど
48 さよなら、クライスラー
49 戦時日本語母音明徴化運動論序説
50 曖昧なる日本の巨匠
あとがき
索引