音楽家は本を読む。
浦久俊彦の乱読道場

定価:本体2800円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・並製(コデックス装) | 304頁
  • 発売日 : 2025年6月26日予定
  • ISBN 978-4-86559-314-3 C1073
  • ジャンル : クラシック音楽/読書
  • ブックデザイン:木下 悠

本の海で溺れたい!──
本を買いすぎて図書館を建ててしまった
異才プロデューサーが贈る無双の読書指南。
茂木健一郎さん(脳科学者)推薦!

本と音楽で世界を泳ぐために──

博覧強記の文筆家・文化芸術プロデューサーが、音楽を愛するすべての人に贈る乱読術指南書。

本をこよなく愛する音楽人──
山田和樹氏(指揮者)、青柳いづみこ氏(ピアニスト・文筆家)、舘野泉氏(ピアニスト)との対談を収録!

「聞こえる音楽」は耳で聴くことができる。
では「聞こえない音楽」はどう聴けばいいのか?
本の世界で聴けばいいのだ。
──「はじめに」より

茂木健一郎さん(脳科学者)推薦!
稀代の教養人、浦久俊彦の豊饒なる世界。
読めば心に歓びの光が満ちて、
あなたは自由になる。

 

プロフィール

  • 浦久俊彦(うらひさ・としひこ)
    文筆家・文化芸術プロデューサー。愛知県教育委員会教育アドバイザー、「ダ・ヴィンチの学校」学長として、未来の文化人育成にも力を注ぐ。2021年3月、サラマンカホール音楽監督として企画した『ぎふ未来音楽展2020』が、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞した。著書に『138億年の音楽史』(講談社)、『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』『悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト』『ベートーヴェンと日本人』(以上、新潮社)、『オーケストラに未来はあるか』(指揮者・山田和樹との共著、アルテスパブリッシング)、『リベラルアーツ──「遊び」を極めて賢者になる』(集英社インターナショナル)などがある。

CONTENTS

はじめに
「本」と「音楽」で世界は泳げる
この本のトリセツ

プロローグ 本の海に飛びこむまえに

1 なぜ音楽家のための乱読指南なのか?

読書するベートーヴェン
本はやさしい。でもその世界はオソロシイ
悩める音楽家のための本の相談室①──本は好き! でも自分らしい読みかたを知りたい、という若きピアニストの悩み

2 本とはなにか?について

「本」を定義してみる
「本」とは「自由」そのものデアル
本は精神の楽器デアル
悩める音楽家のための本の相談室②──「あなたの演奏には音楽がない」といわれたピアニストの深ーい悩み
本の海を泳ぐとは、過去の偉大な魂への旅

Ⅰ 本の海を泳いでみる

1 本に出会うということ その1──浦久流書店巡礼の日々

本との出会いに悩むオーケストラ団員
1万時間の法則と本屋巡礼
浦久流本屋巡礼術
散歩文体の元祖・植草甚一さんは本屋めぐりもおしゃれだった
自分にとっての「よい本」をもとめて

2 本に出会うということその2──浦久流古書の買いかた

よい古書店には、清涼な空気が流れている
本に「生命」があるのか?
なぜ「買うこと」がだいじなのか?
名門ロスチャイルド家は「書かれたもの」しか信用しない
古書のよい買いかたとは?
使える金はすべて本に注ぐ!──成毛眞流本の買いかた
大量の本たちが、あなたの世界地図を描いてくれる
本の世界と天球の音楽

3 背表紙から読む本の魔力?

背表紙の重さは、本の言葉の重さ
背表紙は本の森?
ぼくが図書館にいられないわけ
帯とカバーは、本の衣装である
背表紙が泳ぐ本棚の秘密
ベートーヴェンの隣に、なぜビートルズがならんではいけないのか?

4 背表紙から読み解く「バッハ」なるもの

背表紙から「バッハ」を読んでみる
軽い「バッハ」?  古い「バッハ」?
背表紙にない「バッハ」を読みとってみる
修辞学から読むバッハ
洞察力と背表紙のつながり

本を愛する音楽家との対話①
指揮者・山田和樹の本と旅する日々
──指揮者の旅行鞄には、いっぱい本が詰まっていた! の巻

指揮者が本をいっぱい鞄につめて旅をするわけ
山田流ディープ読書術とは?
「弥次喜多道中」的読書のススメ?
指揮者・山田和樹の原点は『からすのパンやさん』?!
漫画のつぎは西村京太郎!
「怪盗ルパン」は好き。でも「名探偵ホームズ」は?
「ドリトル先生」に冒険する心を学ぶ
指揮者の本との出会い
指揮者・山田和樹が薦める「これだけは読んでおきたい指揮者の本」
『森のうた』は、音楽をこころざす若者が読むべき本

Ⅱ 本の海に潜ってみる

1 深読み読書術のススメ

いざ、読書術の世界へ!
探究型読書術とは?
「読前」「読中」「読後」という読書法
なぜ、探究型読書が音楽家向きなのか?
古典に向きあうということ
ホロヴィッツが語る作曲家と作品へのアプローチ

2 深読み読書術で「モーツァルト」を読んでみる

3冊セットが、読書の基本!
伝記を〝深読み〟する秘訣とは?
書簡集は、できれば原語版で!
タイトルのないモーツァルト本を探せ?!
思わず手にとりたくなる? ユニークな「モーツァルト本」

3 本の海から読む「シューマン」──音楽と文学のあいだにあるもの 文学編

幻想とロマンの詩人、シューマンのひみつ
シューマン大学時代のアイドル、ジャン・パウル
幻想文学の巨匠ホフマンとシューマン
ふたつのクライスレリアーナ

4 本の海から読む「シューマン」──音楽と文学のあいだにあるもの 幻想編

シューマンと幻想の時代①──ドッペルゲンガーに魅せられた青年時代
シューマンと幻想の時代②──ドッペルゲンガーと芸術家たち
ドッペルゲンガーと日本文学──『源氏物語』から芥川龍之介まで

本を愛する音楽家との対話②
「本は、演奏家の直感を支えてくれるものです」
──ピアニスト・文筆家、青柳いづみこさんが語る 書くこと・弾くこと・本のこと

ピアニスト? 文筆家?
祖父・青柳瑞穂の迷宮書斎
わたしのなかの「ふたつのフランス」
ドビュッシーの音と言葉
若き音楽家へのアドヴァイス 「直感を信じて!」
対話を終えて──青柳さんが好きな自分の本は?

Ⅲ 音楽という海に溺れるためのブックガイド

1 音楽とはなにか? という問いは深海である

音楽という問いに溺れてみる
音楽「作品」はどこにあるか?
音楽から「作品」をとってみる

2 「音楽とはなにか」を考えるための3冊の古典

先人たちの「音楽論」に潜ってみる
古代人から学ぶ「音楽論」3冊

3 音楽〝家〟の正体とは?

音楽〝家〟とは、だれのことか?
いま、音楽家の存在意義が問われる時代に
音楽家のアイデンティティをもとめて
15世紀の音楽学者ティンクトリスが定義した「音楽家」とは?
朝鮮の文人・成俔が、琴を演奏する「理由」は?
演奏する精神=「中和の美学」とは?

4 「音楽を哲学した人たち」を知るための10冊

本を愛する音楽家との対話③
「戦争で家やピアノが焼けたことよりも、本をうしなったのが悔しかった」
──クラシック界のレジェント舘野泉さん家の本棚で泳いでみた

東京・自由が丘の静かな家にて
物語に包まれてピアノを弾いた少年時代
家やピアノよりも本が焼けたのが悔しかった
好きな本がならんだ本棚を語る
愛してきた本たちを語る
風景を描くようにピアノを弾く
対話を終えて──舘野さんの本棚は懐かしい匂いがした

Ⅳ 本の海に溺れながら考えてみた

1 日本人にとってクラシック音楽とはなにか? を考えてみた

普遍的な世界概念の象徴としてのクラシック音楽
日本のクラシック音楽界が危ない?
西洋とはなにか? を問うために
日本にとって西洋とはなにか? に挑んだひとりの美術史家
日本と西洋のあいだにあるもの

2 日本の音楽教育に未来はあるのか? を考えてみた

ある音楽教師の悩み
「ムジクス」と「カントル」のちがいとは?
日本の音楽教育=西欧音楽なのか?
音楽の「二層構造」を知る
リベラルアーツとしての「音楽」
音楽教育は「耳で考えることのたいせつさ」を学ぶためにある

3 乱読とはなにか? を考えてみた

乱読か? 濫読か?
乱読は、予測できない人生のシミュレーション?
乱読は「偶然」か? それとも「運命」か?
乱読とは、「センス」を磨く読書法である
乱読とは、ランダムに身をまかせて生きる読書である
乱読と教養の深~いカンケイ
乱読は「冒険」である
乱読とは、「秘密の鍵」を探る旅である

特別付録
本づくりのプロはなにを考えているのか
──編集者たちとの対話

本のある世界 本のない世界
本を読むこと 情報を仕入れること
編集者が語る「本とわたし」
編集者へのラヴレター?
伝記文学と過去との対話
孤立していく自己・社会・言語
世代の言語と本の未来

エピローグ ぼくはいかにして本の海で溺れるようになったのか

幼少期──ぼくはいつも本屋の住人だった
学校での勉強を断固拒否した夢見る子ども
少年時代に読んだ本のことなど
青年期──フランスでの〝黒の時代〟
思考は言語のカタチをしている
テクストは動きまわる?──難解な本に挑む術
なぜ、ぼくはフランスの小さな村に暮らしたのか
「世界は一冊の書物である」に気づいた日々
なぜ、ぼくは日本に帰国したのか
本に魅せられた日々、ふたたび
そして、ぼくは軽井沢に本の家を建てることにした

おわりに